Media Integration, Inc. Staff Blog

Staff Blog!

05 9月 11

開拓者でありつづけるミュージシャン、ハービー・ハンコックが使うツール


スタッフHです。

前回ポストのエリック・パーシングさんのインタビュー、楽しんでいただけましたか?非常にたくさんの方にお読み頂いているようで、嬉しい限りです。

エリック・パーシングさんは世界中のサウンドデザイナーからだけではなく、数多くのミュージシャンからも厚い信望を得ており、NAMM SHOWでは彼が立つステージには常に超ビッグミュージシャンがいるんですね。一般の人に混じって。そういったビッグミュージシャンにとっては、エリックさんが開発するインストゥルメントが楽しみで仕方ないようです。

本日ご紹介するのは、そんなビッグミュージシャンの一人。常に進化し続け、多くのファン、フォロワーのいるハービー・ハンコック氏。「ジャンルを超えた活動」とは、彼のためにあるような言葉ではないでしょうか。

ハービー・ハンコック氏は古くからのSpectrasonics製品のユーザー。以下は、Spectrasonicsウェブサイトで公開されているインタビューを翻訳したものです。

第一線のミュージシャンは、どのようにインストゥルメントを使うのか。非常に興味があります。

案外私たちと変わらない使い方をしていたりしたら…もっと精進しないといけませんね。では、レッツゴー。


近年のミュージックシーンを象徴する、ハービー・ハンコック。
彼は音楽の限界やジャンルなどという枠組を超えて、常に名声を保ち続けているアーティストである。


簡単に説明するならば、アコースティックやエレクトロニックジャズやR&Bと、ジャンルを超えて多大な影響を与えた数少ない人物だ。

また彼は他者に先駆け、ソフトウェアシンセなどの最新技術やコラボレーションに取り組んできた。私たちSpectrasonics社一同は、彼が長年にわたるSpectrasonicsのユーザーであることを、大変嬉しくかつ誇りに思う。


Discovering Spectrasonics

ハービーがOmnisphereを始めて触れた時、彼はこう感想を述べてくれた。

「何時間かけてでもいじっていたいほどのサウンドだ。時間を忘れるほど、のめり込んだよ。その楽しさを誰かと共有しようと思って、マーカス・ミラーに来てもらって、事前に温めておいたアイデアをジャムしたよ。あの夜は本当に楽しかった!」

「初めてStylus RMXを使った時のことも覚えているよ。あのグルーブにはただただ、感心させられた。Chaosやミックス等の中身の部分に慣れてさえしまえば、本当にできることが多いんだ。他にも、特にTime Designerとの連携など素晴らしい機能をたくさん積んでるしね」

サンプル・ライブラリなど、Spectrasonicsの旧製品も彼のアレンジでフィーチャーされている。

Vocal Planetなんかもよく使ってるよ。様々な文化圏の歌い手を自分のものにできるからね。数年前だけど、サラウンドのライブでVocal Planetを使った。現代的なバックグラウンド・ボーカル、ジャズのスキャット、トゥバの歌い手、ヒマラヤの女性ボーカル、こうしたサンプルをゴスペル・サウンドとのハーモニーを意識して使ってみたんだ」

Imagining the Possibilities

彼が手がけたアルバム、”Possibilities” の制作については、

「スティービー・ワンダーのカバーで、グルーブにStylus RMX、ベースにTrilianを使ったよ。このアルバムのドキュメンタリーの撮影では、Greg Phillinganesと僕がVocal PlanetとStylus RMXを使ってファンキーなグルーブを作ったりもしたね。そんな素晴らしい音楽が生まれる瞬間が、このプロジェクトのドキュメンタリーにおさめられているよ」

グラミー賞を受賞し、世界的にも大きな影響を及ぼした”Imagine Project”。このアルバムには特にOmnisphereとTrilianが使用されている。

「アルバムのある曲では、マーカス・ミラーがベースを担当している。でもレコーディングの後、彼のベースラインよりいいアイデアが浮かんだから、ベースラインを変えようと思って僕がTrilianを使ってキーボードで演奏したんだ。ちなみに、Trilianのベースサンプルのいくつかは誰の演奏か知ってるかい?

マーカス・ミラー本人だよ! 彼自身の演奏なんだ。意図的に彼の実際の演奏とTrilianの音をミックスしたってことだね。

マーカスが演奏した音と、僕がTrilianを使ってキーボードで演奏する音(笑)、どっちも彼なんだ!たぶん、彼には違いがわかると思うけどね」

Music from the Heart

良い作品をつくろうと、向上心のあるミュージシャンに対して何かアドバイスできることがあるかと尋ねたところ、彼はこう答えてくれた。

「音楽は人間をひとつにする素晴らしいものだ。大事なことは、君の心が大切だと感じる、思うところを表現すること。他人などに流されず、自分の信念を貫き通す勇気を持つことだ。たとえ、自分自身の中に疑念が湧いてしまったとしても、君のハート、信念にしたがって動くことだよ!」

常に未来を見据える彼は、こう続ける。

「近くとりかかる、ソロ・プロジェクトが楽しみだね。KorgのOasysやSpectrasonicsのOmnisphere、Trilian、Stylus RMX、これらの機材で作る音楽は、とてもエキサイティングなものになりそうだよ」

原文リンク:http://www.spectrasonics.net/news/news-content.php?id=60


03 9月 11

サウンドデザイナーのトップが語る、今までとこれから。


スタッフHです。

世界中にサウンドデザイナーという肩書きを持つ人はたくさんいますが、そういった中でもトップに君臨し続けることは、非常に難しい事です。

しかしながら、その困難に果敢にも挑み続け、他社のサウンドデザイナーからも尊敬される存在となる人物。それが、本日ご紹介するSpectrasonicsの創業者であり、クリエイティブ・ディレイクター、サウンドデザイナーである、エリック・パーシング氏です。

エリック・パーシング氏はかつてRolandに所属し、現在なお名機と呼ばれる数多くのシンセサイザーを生み出してきました。その後、自身のアイデアをより理想的な形で世界に発信するために、Spectrasonicsを設立することになるのです。

そんな生きる伝説、エリック・パーシング氏のこれまでの遍歴と、これからの将来について米国ウェブサイトのKVRにてロングインタビューが公開されました。私たちはKVRスタッフに許可をいただき、本記事を和訳しました。

私たちにとって大事なツールである未来のソフトウェアはどう進化していくのか。音楽制作に携わる全ての人に読んで欲しい、長編インタビュー記事です。

Big thank you, Chris and all KVR staff for letting us post this article!


エリック・パーシング(Spectrasonics)インタビュー

記事/インタビュー:Chris Halaby(KVR Audio):翻訳:Media Integration Staff OK

およそあらゆる業界は常にチャンピオンを必要としている。個人、会社を問わず、マーケット全体を推進し、他の全ての人々が目指すべきハードルを常に引き上げていく存在を。

Spectrasoncisの創業者でありクリエイティブ・ディレクター、エリック・パーシング(Eric Persing)は、ソフトウェア・プラグイン/サウンド・デザイン業界における、そんなチャンピオンの一人だ。

音楽関連の製品に携わる多くの人々と同じく、エリックのキャリアは、ある楽器店からスタートした。しかし80年代初頭のMIDI誕生から間もなく、当時ローランドUSを率いていたTom Beckmenに見出され、彼はローランドで働き始める。(Tomはその後Opcode Systemsの株式を取得、引退した現在はなんとワイナリーを経営している)

当時の私は知らなかったが、私とエリックとの初めての出会いは、ローランドD-50の購入を通じてだった。彼はこの有名なシンセサイザーを始めとして、数多くのクラシック・シンセサイザーのサウンド・デザインを手がけていたのだ。その後、私の購入した殆どの製品は彼が開発に関わったものばかりだ。

私が最も頼りするインストゥルメントは、Spectrasonicsのフラッグシップ・プラグインOmnisphere、そしてTrilian、Stylus RMXだ。もしあなたがこれらを試したことがないとすれば、今まであなたは本当に重大なものを見逃してしまっているのだ、と言っておこう。


KVR:初めに、ローランドで働くことになった経緯を聞かせてもらえるかな。

1982年のこと、カリフォルニア州オレンジ郡にあった、当時としては相当普通じゃない、Goodman Musicという楽器店で働き始めた。この店のすごかったのは、世界に存在するあらゆるキーボード、シンセ、オルガン、ピアノを全て揃える、という野望を持っていたことだ!

でもおかしなことに、店舗は巨大で高速道路からでも見えるのに、たどり着くのにものすごく骨が折れたんだ。そんなわけで、残念なことに客はほとんどやってこなかった!

客が来なければ、することもない。なので僕らはすべての時間を使って、店中の機材で実験を繰り返した。MIDIが登場したばかりのすごくエキサイティングな時代だったから、店のあらゆるものをMIDIで繋ごうとしたんだ。でも当時はこうしたことさえ非常に複雑でね、その頃のMIDIキーボードの多くは、1チャンネルのMIDIしか送信できなかったんだ。にも関わらず、受信側は16チャンネル全てをオムニ・モードで受けてしまう。でもなんとか方法を見つけ出して、全機材が正しく動くように設定したんだよ。

店にいる間は昼夜を問わず、まるで開拓者みたいな気分だったな。全部の機材がMIDI接続され、巨大なPAにつながっている。客がやってくると、僕らは「ちょっとこっちにきてみなよ」と声をかけて、再生ボタンを押す、そうすると店中にあるシンセが唸りを上げて鳴り出すんだ。彼は「なんだこれ!」と驚くわけだ。

ちょうどその頃、Roland JX3Pが発売されて、収録されたファクトリー・パッチが、その……酷かったんだ…。funny catだのspace boyだの、80年代初めにありがちな、冴えないサウンド。そこで僕は独自にプリセットを作り始めた。JX3Pは2オシレータを搭載していたけれど、Prophet 5よりもはるかに安かったんだ。Prophet 5のサウンドを再現して、それを元にめちゃくちゃ凝ったパッチを32個作った。で、当時この店でJX3Pを買ってくれた人には、追加の100ドルで、この32パッチを収録したデータ・カセットも提供していたんだ (編集注:ちなみに現在Omnisphereには8000ものパッチが収録されている)。ほかにもいくつか裏技を見つけてね、例えばあるボタンの組み合わせでシーケンサーのメモリを2倍にできる、とか。インターネットのある今では考えられないけど、当時は20ドルでこうした裏技も教えていたんだよ(笑)。


ローランドS-50の発表、1986年あるとき、ローランドのセールス・トレーニング担当者が「これは、いったいどうやったんだい?」と尋ねてきて、結局彼にも仕組みを教えることになった!するとTom Beckman(ローランドUSの創業者)がこの事件を聞きつけたみたいで、「オレンジ郡の店で何が起きてるんだ?」と。で、彼が来店することになって、それはもう盛大なデモをやったんだ、さっき言ったJX3Pパッチも使ってね。最終的に、1984年のNAMMショウでデモを担当しないか、と誘われて…もうぶっ飛んだね!その年は新製品が山のように発表されたんだ。初のSMPTE-MIDIデバイスSBX-80、同じく初のMIDIドラムパッドOctapad、MIDIコントローラーにキーボード、モジュール、あとはSuper Jupiterとか。NAMMでの評判が良かったこともあって、ローランドのプロダクト・スペシャリスト兼ローランド・ジャパンのチーフ・サウンドデザイナー/コンサルタントとして働くことになったんだ。


KVR:今でもミスターK(梯 郁太郎氏、ローランド創業者)との親交はあるのかな?

梯 郁太郎氏とエリック・パーシング梯 郁太郎氏とエリック・パーシング

もちろん、折にふれて会うことがあるよ。彼は間違いなく僕のヒーローで、素晴らしい人物だ。”シンセサイザー界のウォルト・ディズニー”といって過言ではない。彼も80歳を超えているから、ぜひまた会う機会を得たいと思っているよ。


KVR:ではSpectrasonicsの歴史について話してもらえるかな。どうして自身で会社を始めようと思ったの?

90年代の初頭、僕はロスアンゼルスでセッション・ミュージシャン/プロデューサー/アレンジャーとしてすごく多忙な日々を送っていた。ローランド・ジャパンでもサンプル・ライブラリのレコーディングや開発を手がけていたしね。どちらの世界でも起こり始めた、ドラマチックな変革が明確になってきた頃だ。

音楽業界では、一緒に仕事をするミュージシャンやプロデューサーが、大勢の人間を一箇所に集めて音楽を作るかわりに、一人で作業をするようになっていった。日本では、ローランドの哲学が「バーチャル」なものにそれほど積極的ではないと、僕は気づき始めたんだ。彼らにとってサウンドはあくまでハードウェアに付属するものだった。ハードウェアのために工場を稼働させなくてはいけない、でもバーチャル・ソフトウェアを作るのに工場は必要なかった。
同じ頃、まだ小さかった「インターネット」なるものについて耳にするようになってね…(笑)

KVR:そう、あれはちょっとどころじゃない大変革だった!

こうした世界が互いにぶつかりあう中で、当時の僕はJV-1080の開発に携わっていたんだ。でも音楽プロデューサーにとって、僕を一日雇って何個かのカスタム・サウンドを作るより、僕が作った500以上のパッチを収録するローランド・シンセサイザーを買うほうが、格安というわけだ。自分自身を失業に追い込もうとしていることに気付かされたんだよ!

KVR:なんてこった!

と同時に、その頃「Bass Legends」サウンドライブラリのアイデアを温めていた。スタジオでの仕事を通じて、マーカス・ミラーや、エイブラハム・ラボリエル、ジョン・パチトゥッチといったベーシスト達と親交があったからね。

でもこのアイデアを実現するには、ローランドがベストな場所じゃないことは分かっていた。どうしていいか、くじけそうになった時、妻のLoreyが「ねえ、自分たちでやればいいわよ!」と背中を押してくれたんだ。こうしてSpectrasonicsは、ひっそりと始まったんだよ。

KVR:当時のSpectrasonicsはハードウェア・サンプラー用のサウンドを専門に制作していたよね。

そう。ハンス・ジマーを始めとする、本当に素晴らしいミュージシャンたちと仕事をする栄誉に恵まれた。おかげで、事実キッチンに引いた5回線の電話しかない小さな自営業にも関わらず、創立当初から、ハイ・プロファイルなプロ仕様のイメージをアピールすることができた。始まりは小さなアイデアに過ぎなかったものが、ここまで大きく成長してきたんだ。

KVR:Spectrasonicsは、最も早くからスケールの大きなバーチャル・インストゥルメントを発売したメーカーだ。サウンド制作からフルタイムのソフトウェア開発へと、どんな変遷があったのかな。

かなり初期の段階で、数多くあるサンプラーのプラットフォーム全てに対応することは、重荷になるだけでなく、アイデアの実現そのものを制限してしまうことは明らだった。僕らはコンピューターこそが未来だと信じ、その好奇心もあって、ソフトウェア・シンセサイザーの開発に取り組み始めたんだ。

しかし、僕自身ソフトウェア・プログラマーではないし、どうやってバーチャル・インストゥルメントを実現するべきかについて、具体的なアイデアもあまりなかった。Spectrasonics最初のインストゥルメント、Atmosphere、Trilogy、Stylusは、当時フランスでUVIエンジンの開発を行っていた友人からライセンスを受けた技術を使い、リリースされた。こうしたインストゥルメント製品の成功から、ソフトウェア会社とはどうあるべきか、学ぶことが多かったよ。

KVR:現在は全て自社で開発を行っているんだね。

現在のSpectrasonicsチームそうだ。最初のインストゥルメント製品群をリリースした後、アイデアを思うとおりに実現し、継続していくには、専門のソフトウェア・チームが必要だということがはっきりしたんだ。Glenn Olander(Crystalシンセサイザー開発者)をソフトウェア・チームのチーフに迎えられたことは、本当に幸運だった。その後のSpectrasonics製品は、すべて自社で開発したテクノロジーに移行した。Stylus RMXに搭載したS.A.G.E、そしてフラッグシップとなるOmnisphereとTrilianを駆動するSTEAMエンジンは、本当に強力なものだ。ここまで本当に大冒険の道のりだったよ!

KVR:Spectrasonicsの開発理念をふたつの言葉で表すとすれば、なんだろう。

“パワフルかつシンプル”。これが全てのデザイン理念におけるガイドラインだ。複雑で強力なツールを、本当に簡単に使える、創作意欲をかきたてるものにしたいんだよ。


KVR:ところで、いわゆる音楽教育を受けたことはあるかい。

もちろん、僕は音楽一家に育ったんだ。父はあらゆる楽器を演奏する。聖歌隊の監督や、スタンフォード大学でも教鞭を取っていたし、交響楽団で演奏もしていた。周りには常に音楽があって、ピアノを教えてくれたのは母だ。といっても、その他全てのことは独学で学んだよ。シンセサイザーについて言えば、70年代にはまだ新しい分野だったから、どのみち自分で勉強する必要があった。Alan Strangeの「Electronic Music: Systems, Techniques, and Controls」を子供の頃に手に入れて、それこそ本にあることは全て学んだ。本物のシンセを買えるようになる、はるか以前のことだよ。

当時、小学校6年だったと思う。サンフランシスコにあったGuitar Centerを訪れたんだ。当時はこの店舗ひとつきりで、しかもまだまだ小さかった。そこにはシンセサイザー専用のクールな部屋があって、Moog Modularが全部揃っていた。Sequential Circuits programmerの初期モデルもあったね。Prophet 5のはるか以前の話。ヘビーな部屋だったなあ。一日中Minimoogを演奏して、どうやってサウンドをオフにするかも分からなかった!

KVR:今のGuitar Centarからは想像もできないね。

(笑)まったく、でも一日中そこで過ごして、僕のDNAは永遠に書き換えられてしまったんだ。初めてシンセサイザーに触れたあの日以来、それ以外のことは考えられなくなってしまったよ。


KVR:よく聞く音楽は何だい、またそうした音楽は製品の開発に何らかの影響及ぼしているだろうか。

我ながら、音楽の趣味はそれこそ種々雑多だね。またそれが色々な意味で役立っている。Spectrasonicsのユーザーは、特に現在、スタイルやサウンド、分野も様々だからね。アコースティック、エレクトリック、エレクトロニック、とにかく幅広いスタイルに興味を持って好きになること、これが大きな助けになっている。

そうだな、ヴァンゲリスの影響は大きいね、あとクラフトワークやELP、ヤン・ハマー、イエス、ジェネシス、トーマス・ドルビー…みんなにも馴染み深いアーティストだね。あと当時でもそれほど有名ではなかったけど、とても重要なエレクトロニック・ミュージックの先人たち、ロジャー・パウウェルのソロ作品とか。最近では、音響が先鋭的で、かつ音楽的に破綻していないオリジナルなサウンドだったらどんなものでも好きだよ。アモン・トビン、スクエア・プッシャー、エイフェックス・ツイン、他にも現在進行形のエクスペリメンタルなもの。ポップ・ミュージックでは、イモージェン・ヒープのファンなんだ。彼女は素晴らしいね。

KVR:彼女はすごいね。特にFrou FrouでGuy Sigsworthと組んでいた曲とか。ところで、Moogを使った作品に絞ると、長年聞いた中で特に重要だと思う作品はあるかな。

一番最初に思いつくのは、ラリー・ファーストのSynergyが1978年にリリースしたアルバム「Cords」の「Phobos and Deimos Go To Mars」という曲かな。アルバムもすごくいい。

ラリーの作品、特にさっきの曲で、僕は初めてサンプル&ホールドが炸裂する、リッチなアナログ・サウンドを体験したんだ。でもELPのKarn Evil #9みたいなフィルターじゃない、モジュラー・シンセが火を吹くようにサウンドを発し、全てがランダムだ。OmnisphereのBob Moog Tribute Libraryにラリーが参加してくれたことは、大変な栄誉だった。彼が提供してくれたサウンドは、実際にアルバムで使用されたものだった。マルチトラック・マスターの手になる逸品だ。聞いてすぐに、これは「Games」で使われたサウンドだ!と気づいたくらいだ。

今の人達は知らないかもしれないけど、ラリー・ファーストは、ピーター・ガブリエルの作品にも深く関わっている。「Biko」のバグパイプを初め、数多くの印象深いサウンドを創りだした。バグパイプのサウンドはラリーがModular Moogで作ったものなんだ、本物じゃないんだよ!

あとはウェンディ・カルロス、音響的なボキャブラリーを推し広げたという意味で、彼女の貢献は計り知れない。

KVR:Spectrasonicsは、ユーザーと製品のインタラクティブな関わりをとても重視している。良くも悪くも、テクノロジーの変遷がユーザーの体験に与えてきた影響を、どう見ているかな。

ポジティブに考えれば、あらゆるものへのアクセスが容易になり、サイズも格段に小さくなって、どこにでも持ち運べるようになった。上手に使えば、思いついたことを何でも実現できる。素晴らしいクオリティと質感を備えたサウンドを、信じられないほど安価に手にすることができる、その進化にめまいがするほどだ。

障害となっていた壁は全て崩れ、無いも同然の状態だ。でもそれが別の興味深い問題として現れてくる。何もかもが努力を必要としないから、簡単に創作のモチベーションを失ってしまうんだ。ハードウェアシンセと巨大でコストの掛かるスタジオが全盛だった時代と違って、何かのiPadアプリを、いつの日か手にいれてやろう、なんて夢見る人はいない。すぐさまアプリを手に入れ、数日使ってみる、飽きたらまた別のものを試す。こうした使い捨ての問題が、誰も予想しえなかった音楽テクノロジーにおけるダークサイドだ。

Apple カメラ・コネクション・キット for iPad / iPhone

でも、たとえばiPadにMIDIを繋ごうとする人はまだ少ない。決して難しいことじゃないのに。今MIDIを試しているのは、実際のところ開発者がほとんどだ。エンドユーザーではあまり見かけない。そして見せてみると「え、そんなことができるのか?」という反応が返ってくる。

アップルが出しているカメラコネクション・キットとUSBケーブルで繋げることができる。もし「えー、僕のキーボードにはUSBなんて付いてないよ」なんて場合は、USB-MIDIの変換ケーブルを使えば、大した問題ではないんだ。どこの楽器屋でも売ってる(笑)。

こうした状況も、新しいデバイス、AlesisのIO Dockなどによって変わってくるかもしれないね。実は先日買ったばかりだけど。間違いなく今までの流れを変えるものだし、iPadをポータブル・マルチトラックレコーダー/サウンドモジュール/MIDIデバイスにすることができる。iPadの可能性を見過ごしてきた人にとって、大きな架け橋になると思う。

つまり、そう。間違いなく、良くも悪くもあらゆることが大きく変わった。

KVR:この変化はソフトウェア業界にどういった影響をおよぼすだろう。今はまるで新しい土地の奪い合いだ。NIみたいな大会社から、聞いたこともないソフトカンパニーまで。新しくて奇抜なものなら、ユーザーはとにかく買って試そうという…

いずれ落ち着いていくとは思うよ。既に飽和状態に達しているし、それはあっという間に起こったから。


KVR:今後(iOS向けのなどの)アプリ価格は、他の製品が参入することで上がっていくと思うかい?Omni-TRの開発にどれくらいかかったかは知らないけれど、少なくとも2〜3週間でできるものではないよね。

その年のかなりの期間を費やしている、でもOmni-TRについて、これでお金を稼ごうとは僕らは考えていないんだ。Omnisphereがもっと欲しくなるようなアプリだからね。Omni-TRは、Omnisphereをよりフィジカルに使うための可能性を開いたアプリだ。iPadのタッチ・リモート(TR)コンセプトに、僕らは相当興奮したんだ。間違いなく、今後もこのコンセプトを推し進めるつもりだよ。iPad/タブレットの世界がどうなるかは未知だけど、従来スタイルのコンピューターの方が常によりパワフルである、という事実は変わらないと思うんだ。それぞれの長所を活かすことで、どちらも賞賛に値するものになる。

Omni TR(タッチ・リモート)for iPad

僕が常に興味を持っているのは、新しいコンピューターを使うことで生まれる、音楽・音響の新たな可能性、その可能性がどんな風に僕らの開発環境を次のレベルへ引き上げてくれるか、といったことだ。マスマーケット向けのこじんまりした「ほかより使えない」製品を作ることではない。すでに大勢の人がそうしているし、中には素晴らしいものもあるけれど、多くのそうした製品は短命に終わってしまう。iPadの持つ根源的なアドバンテージは、素晴らしいインタラクティブ性を備えたタッチ・ユーザーインターフェースにあると思う。これでホスト・コンピューターが必要なパワーを提供できれば、両者のベストな特性を利用できるんだ。

業界的な話をすれば、AppleがGarageBand for iPadでやったことは本当にすごい…でも4.99ドルという価格は、あまりにクレイジーだよ。盛り込まれたアイデアはどれも素晴らしいし、ミュージシャンとしてはとても気に入っている。でもAppleがあまりに低価格に設定したことで、ある意味で多くの開発者のイノベーションを潰してしまっているんだ。20ドルじゃダメだったのかな?ときとして、あまりにもマス向けのやり方は、個人の開発者たちを抑圧してしまう。あんなにパワフルなDAWソフトがたったの5ドルだなんて、どうやって太刀打ちしたらいい?

KVR:全く同感だ、おかしいよね。あれを見て誰が次にiPadレコーディング・アプリを出そうと思うだろう。

彼らは「ハードルを上げるもの」といって発表したし、プログラミング的な観点からすると、まったくそのとおりだ。でも逆に価格のハードルを下げてしまった。ソフトウェアをまるで何でもないように扱うことは健全とは思えないし、これがどういう方向に向かうかは分からない。はっきりしているのは、iPadやそれに類するものは、今後スタジオでも大きな役割を担うだろうということだ。優れたインターフェースと持ち運びのしやすさがもたらす利点は大きい。

Studio Logic

音楽関連の製品でも、iPadを統合する動きが出てきているね。StudioLogicのMIDIコントローラーは、ディスプレイを省くことで価格を抑えた。もしディスプレイが欲しければ簡単だ、iPadをスライド固定すれば、全部のコントローラーがそこに表示される。iPadが楽器の一部、ディスプレイに取って代わる。

こうした場合、開発者は直接iPadアプリを販売して利益を得る必要がない。でも製品への付加価値はとてつもなく大きい。製品の規模が大きくなるほど、こうした傾向が顕著になってくるはずだ。

KVR:今後バーチャル・インストゥルメントのデザインと「タッチ操作」はどう関わっていくだろう。

最近、少なくない人たちから、もう音楽を作らなくなったので持っているインストゥルメント製品を処分したい、という話を聞くんだ。僕にしてみれば「待って、なんだって?もう音楽を作らないってどういうことだい?」だよ。しばらく音楽を作ってきて、ある時点から作らなくなる…これはミュージック・ソフトウェア業界全体にとって、とても危険な兆候だよ。人々は所有するインストゥルメントと、心のつながりを持てないでいる、ということだからね。

iPadの優れた点の一つが、インストゥルメントに直接「触れる」ということだ。そうするとことで何かが起こって、本物の楽器のように、より強いつながりが生まれてくるんだ。マウスでこの感覚を得ることは難しいよね。

音楽制作はかつてないほど簡単になったけれど、ときに選択肢が多すぎると、1万個もチャンネルがあると、全部がどうでもいいと感じてしまう。僕らがごく少数のパワフルな製品に集中するのは、そういった理由もあるからなんだ

KVR:DX7の音色数は32パッチ、カートリッジで拡張しても64パッチだ。選択肢の数に圧倒されて、人々の興味が離れてしまうこともありうるということだね。

まさに。Omnisphereにも同じことが起こった。音色ライブラリがあまりに巨大すぎる*。パッチの数に圧倒されることなく素早く作業ができるよう、ブラウザ機能の改良は常に課題になっている。

*訳者注: Omnisphereのプリセット・パッチ数は8000を超える

ミュージシャンとしての経験上、あとソフトウェア・プラグインを多用するようなエレクトロニック・ミュージックのプロデューサーたちを見ていて気づいたことだけど、僕たちのような人間がハードウェア・シンセに魅せられてしまうのは、「そのとき限り」の瞬間を体験できるからだ。プリセットを保存できないハンズオンのアナログシンセ、Minimoogがまさにそうだし、例えばプリセットをプログラムできるJupiter 8でさえ、大規模なライブラリに頼ることはできない。Minimoogでは、今やっていることに必要な特定のサウンドを、その場で作ることになる。そこから生まれてくる相互作用は、とても美しいものだ。

こうしたプリセットを持たない楽器を、僕はなるべく大事に取っておくようにしている。その時の気分だったり、ある曲に必要になるサウンドだったり、必要に応じてその場で作っていく。そうすることで驚くほどの充足感を得られるんだ。Moogシンセサイザーを使う人々は、自分自身と楽器に、とてつもなく深いつながりを持っている。

ソフトウェア・シンセとこうした繋がりを持つことはとても難しい。このギャップを埋めるために、僕らは懸命に努力している。そういった意味でiPadは素晴らしいデバイスだ。新しいImposcar2のハードウェアコントローラーも同様にすごくエキサイティングだと思う。

でも、Omnisphereのようなインストゥルメントと繋がりを得るための近道は、ファクトリー・ライブラリーを全部無視して、とにかく触って、一からサウンドを創ってみることだよ!

KVR:ミュージシャンは自分の楽器を愛するべき、ということだね。

そのとおり!そうすれば、僕らが自分たちのインストゥルメントを同じように愛し、成長していくのを見ていたいと願っていることを、わかってもらえると思うんだ。これは単なるビジネスじゃない。500ドルのインストゥルメントは、今のご時世では高価な部類に入るだろう。僕らは最大限の努力を払って、その価値を保っていきたいと思っている。多くの人に、この楽器は価格に見合う素晴らしい価値がある、手に入れたくてたまらない、と感じてもらいたいんだ。趣味で音楽を作る人にとっても、手の届かない価格ではないよね。だから手にしてもらうための理由が少しでも多くなるよう、僕らは必死に頑張る。まあ、今までスタジオの機材一つに何千ドルも費やしてきたプロなら「もちろん!」と手にとってもらえるだろうけどね。


KVR:ボブ・モーグ財団(Bob Moog Foundation)とBob Moog Tribute Libraryについて話してもらえるかい。素晴らしい出来栄えだし、色々な意味で君にとってもすごく重要なライブラリ製品だと思うんだけど。

45名以上もの世界中のアーティスト/サウンドデザイナーからサウンドを提供してもらったからね。この素晴らしいライブラリの制作はすごい勢いで進んだんだ。ライブラリの利益は100%、次世代への教育を目的として、ボブ・モーグ財団に寄付されている。

Bob Moog Library

さっきも話したとおり、子供の頃に初めて弾いたMinimoogは、僕のDNAを完全に組み換えてしまったんだ。冗談抜きに、もしボブ・モーグと彼の創造力がなければ、Spectrrasonicsは存在しなかっただろう。次の世代の人々に、Spectrasonics製品がどうやって生まれてきたかを理解してもらい、何事にもオープンな姿勢をもつ、という彼のスピリットを広めることは、とても重要なことだと思う。ときどき、現在のエレクトロニック・ミュージシャンの多くが、ものすごく細分化され、閉じた世界で活動しているように見えてしまうんだ。これはボブ・ムーグの精神性と相反するものだ。実際、Fairlight(Moogシリーズの競合製品だった、非アナログのサンプリング・シンセ)はボブ・モーグ本人が発表し、コンピューターこそガット弦以来の大発明で、将来ミュージシャンにとって最も重要な楽器になるだろうと予言したんだ。彼は、ミュージシャンは利用できるものを何でも利用すべきと考えていた。ペダル・エフェクトを使う、アンプを使う、ハードウェアもソフトウェアも、そしてプラグインも…使えるものは全て!最も大切なことは、クリエイティブでいること、インスピレーションを持つことだ。ビジョンを実現するためなら、どんなものだろうと使うべきなんだよ。

KVR:私もライブラリを購入させてもらったけど、これはお世辞抜きで本当に素晴らしいね。

Bob Moog Tributeのライブラリがすごく成功して、結果としてボブ・モーグ財団にも驚くほど貢献できたことは、僕らにとっても非常に嬉しいことだ。こうした機会が他のメーカーや開発者を触発して、クリエイティブなやり方で、価値ある運動のための基金を募ってくれればいいと思う。

OMG-1あと、同時に開催したOMG-1もすごく好評だった、世界中から何百人もの応募がきてね!受賞者の発表は9月15日(2011年、OMG-1カスタムシンセ以外にも、複数の受賞が発表される予定)だから、これもすごく楽しみにしているよ!


KVR:最後の質問だけど、もし無人島に持っていくならどの機材を選ぶ?

1976年製のYAMAHA CS-80だね。素晴らしいシンセサイザーだし、演奏していて、とてもインスピレーションをかきたててくれる。さて、そうすると持ち運びできる発電機も探さなくちゃな…

YAMAHA CS-80

彼のヒーローであるボブ・モーグ氏と同じく、エリック・パーシングは、常にクリエイティビティをかきたてる製品を作りたいと語ってくれた。ほとんどのユーザーは、彼が非常に大きなスケールでそれを実現していることに賛同してくれるだろう。ぜひSpectrasonics Omnisphereと拡張音源Bob Moog Tribute Libraryをチェックしてみて欲しい。

当ポストの制作に協力してくれたPaul de Benedictisに謝辞を表する。

原文リンク
Interview with Eric Persing by Chris Halaby for KVR Audio.

—–
(c) KVR Audio Plugin Resources 2000-2011

Courtesy of KVR Audio Plugin Resources

当記事はKVR Audio Plugin Resourcesの許諾により転載しています。


私スタッフH自身もエリックさん、およびSpectrasonicsチームには何度かお会いしたことがあります。みなさん心から音楽と楽器が好きで、情熱をもって製品を生み出している方々ばかりです。

発売から数年で陳腐化してしまう製品は数多くあれど、Spectrasonics製品ほど長年にわたって第一線でありつづけるインストゥルメントが他にあるでしょうか(しかも、機能追加のアップデートのほとんどが「無償」。定期的にアップデート料金があるわけでもありません)。

Spectrasonicsチームは、使ってくださるユーザーのみなさまを大切にします。生涯の相棒として、Spectrasonics製品を選んでいただけると嬉しいです。

Spectrasonics 製品詳細ページ >>


02 9月 11

ダブステップ・ベースサウンドを作るコツ


スタッフHです。

本日はサウンドメイキングのコツムービーを1つご紹介。SpectrasonicsのOmnisphereを使って、単なるサイン波からダブステップで生きるベースサウンドを創りだすコツが紹介されています。

V1.5で新規追加された機能を用いてのサウンドメイキング。サンプルは一切使っていません。


24 1月 11

「スラムドッグ・ミリオネア」のダニー・ボイル監督新作「127 Hours」を彩るOmnisphereサウンド!


スタッフOKです。

本日は、Spectrasonics Newsから、ダニー・ボイル監督作品「スラムドッグ・ミリオネア」、そして同監督の最新作「127 Hours」の両作品で音楽を担当する作曲家、A.R.ラフマーン氏のインタビューをお届けします。

2009年のアカデミー賞8部門を受賞した、「スラムドッグ・ミリオネア」はストーリーは勿論、全編にわたって音楽がとても効果的に使われ、ラフマーン氏の音楽なしでは成り立たなかった?というと言いすぎでしょうか。それほど音楽が素晴らしかったことは間違いありません。

その二人が再びタッグを組む新作「127 Hours」は、まだ日本での公開は未定となっていますが、予告編↓だけでも期待が高まりますね。

しかもラフマーン氏は、長きに渡るSpectrasonicsユーザー、ボイル作品の芯を支える音楽/サウンドデザインにも、Spectrasonics製品、特にOmnisphereサウンドが深く関わっているとのこと。インタビュー記事は下記より!


オスカー受賞作曲家であり、長年のSpectrasonicsユーザーでもある、A.R.ラフマーンが、先日Spectrasonicsオフィスを訪れ、彼独自のクリエイティブなOmnisphereの使い方などについて語ってくれた。

世界中の話題をさらった「スラムドッグ・ミリオネア」に続く、ダニー・ボイル監督による新作映画「127 Hours」でも音楽を担当するラフマーン。米Time誌の「世界で最も影響力のある100人」にも選出され、手がけた作品のレコード売上トータルは2億枚を超える、現代で最もビッグな作曲家だ。

映画のほぼ全編が、たった一人の登場人物によって成り立つというユニークな作品で、楽曲制作の手応えなどについて、ラフマーン氏にお話を伺った。

James Franco on the set of 127 HOURS (Photo: Chuck Zlotnick)

「サントラの制作を始めるにあたって、最初は多少の不安も感じていたんだ。でもダニー(ボイル監督)がその不安を取り除いてくれた。なんにしても、彼の2作品にスコアを提供できたしね。

今回の楽曲コンセプトは本当にゆっくりと出来上がったんだ。脚本の段階から関わることができたから、時間的な余裕もあった。でもサウンドデザイン、音楽、無音部分、全てに慎重を要することになるだろうことがはっきりしてきたんだ」

さらにコンセプトがどのように発展したかについて、ラフマーンは語る

James Franco in 127 Hours (photo: Chuck Zlotnick)

「音楽は瞑想的でトリップ感のある、かつドライブにあふれるものにしようと決めたんだ。でも同時に親密さを備えていなくてはいけない。だから壮大なオーケストラ・サウンドは扱わないことにした。もちろん壮大な曲を映画に使うのは好きだけどね。

この映画のスコアでメインになるのは、ギターだ。そこにOmnisphereで作ったテクスチャーやサウンドデザインを山ほど加えている。このアプローチなら、都合よくコンサートの合間にホテルでレコーディングすることだってできるからね!」

映画音楽におけるサウンドデザインの行程を、さらに詳しく説明してもらった

「このスコアでは、Omnisphereがとにかく大量に使われているんだ。レコーディングしたOmnisphereのテクスチャーは一度オーディオにバウンスしておく。その後、生演奏のストリングスや様々な処理を施したものと合わせてミックスするんだ。

特にOmnisphereのグラニュラー・シンセ機能を使い込んだね。「Touch of the Sun」や 「RIP」などの場面は、加工を施したグラニュラー・サウンドをギターと重ねて作った。ダニーもすごく気に入ってくれたよ」

ラフマーンの「127 Hours」サウンドトラックは、ゴールデングローブ賞「最優秀楽曲」部門にノミネートされている。


ラフマーン氏Spectrasonicsオフィス訪問の様子

数々のオスカー受賞を機により多くの映画音楽を手がけるべく、インドからロスアンゼルスに移住した彼が、先日Spectrasonicsオフィスに立ち寄ってくれた。

SpectrasonicsディレクターのEric Percingとサウンドデザイン担当Diego Stoccoが、プラスチックのレコードで音色を再生する、1970年代の楽器「オプティガン」キーボードを紹介しているところ。


ラフマーン氏は、熱心なStylus RMXユーザーでもある。

「Stylus RMXは本当に印象的な楽器だ。曲のスケッチをあっという間に作れて、しかも音が素晴らしい。今まで作りためてきたグルーブのほとんどを、今はStylus RMXに読み込ませて使っているよ。

これらのグルーブを聞くところから始めて、作曲のアイデアを練っていくんだ。それからリズムパートを組み上げていく。RMXのグルーブに合わせて、ライブ・ミュージシャンにレコーディングしてもらい、その生演奏トラックをもう一度Stylus RMXに取り込んで、さらに加工することもある。いくつかの演奏はそのままにする。「スラムドッグ・ミリオネア」の楽曲はこうして作っていったんだ」

さらにインドにおけるSpectrasonics製品の重要性などについても聞いてみた

「Eric Percingは、音楽界においてとても重要な人物だ。もっと名前を知られて然るべきだよね。インドでもたくさんのミュージシャンがSpectrasonicsのソフトウェアを使っている。インドでは音楽会社と学校 (www.kmmc.in) を経営しているんだけど、もっと生徒たちにソフトウェアを学んで欲しいと思っているんだ」

原文リンク

映画“127 Hours”公式ウェブサイト

A・R・ラフマーン公式ウェブサイト

Omnisphere製品詳細についてはこちらから
http://second.minet.jp/spectrasonics/omnisphere

Stylus RMX製品詳細についてはこちらから
http://second.minet.jp/spectrasonics/stylus-rmx


14 11月 10

ダンストラック、作ってみませんか?


こんにちは、スタッフミッチーです。
去年からインスタントの辛ラーメンにハマってます。卵を入れると旨しです。
そろそろ寒くなってきたので、食べる頻度がややアップしつつあります。

それはさておき、
一昨日11/12(金)から池部楽器PowerRec渋谷店様にて開始した、4回シリーズでのトラック制作セミナー。
参加希望者が少なくて悲しいので、もう一度告知させて下さい!

コンセプトとしてはSpectrasonicsのソフトウェア3つを使って、リズム、ベース、上モノを1週ずつかけて作り、最終日にミキシング講座にて1曲を仕上げるという内容の4回シリーズのセミナーです。
セミナー用に作った音源をこちらにアップしておきますので、まずは聴いてみてください。
ご参加いただくと、これくらいの曲なら割と簡単に作れるようになります。
僕もダンストラックなんてあまり作ったことなかったんですが、割とそれっぽくないですか?
『こんなのどうやって作るの?自分でも作ってみたい!』って思った方は、ためらわずにご参加ください!

Audio clip: Adobe Flash Player (version 9 or above) is required to play this audio clip. Download the latest version here. You also need to have JavaScript enabled in your browser.

次回は11/26(金)17:00〜18:00、Trilianでのベーストラックの制作を中心にお送りします。

Stylus RMXでのリズムトラック制作のおさらいもする予定ですので、1回目に参加できなかった方もご心配なく!

お申し込み方法や参加特典など、今回のセミナーの詳細は、以下の弊社イベントページをご参照下さい。

http://second.minet.jp/event/


19 10月 10

TrilianのLive Modeでキースイッチを使ってみる!


おはようございます、スタッフミッチーです。
秋ですねえ。鍋の季節が到来しつつあります。
大阪出身の僕としては「うどんすき」という関西の鍋料理を欲します。
食べたことの無い人は損をしていると思うので、是非お試しあれ!

まずは告知です。
毎週金曜日の17:00-18:00までの1時間、渋谷池部楽器店Power Rec 5Fフロアにて、弊社取り扱い製品のデモ/セミナー/Q&Aを行っております。
今週取り扱うのはStylus RMXです。
事前予約等は必要ありませんので、是非お時間のある方は僕に会いにきてください。

先月9/21から1ヶ月間限定で開始したSpectrasonics 3製品27%OFFのキャンペーン、残すところあと2日となっております。
この機会に3製品まとめ買いされる大人の方もいらっしゃいますが、未体験の方はまずはどれか1つをお買い求めになってみてはいかがでしょうか?
極端にざっくり言うと、以下のようなソフトウェア音源です。

Stylus RMX: すごいリズム音源
Omnisphere: すごいシンセ音源
Trilian: すごいベース音源

先日からSpectrasonics3製品のみを使ってトラック制作をしてます。
僕のテリトリーである映像音楽やジャズ, ファンクも割と短時間で制作できて、楽しいですよ〜。

是非お得なこの機会に導入していただきたいので、YouTubeに動画をアップしました。
音楽的な物欲を刺激されやすい方は要注意。

こちらの動画では、エレベの幾つかの奏法を鳴らし分けています。
Trilian, Omnisphereに共通する機能のひとつ『Live Mode』を使用すると、キースイッチを用いて複数の音色を鳴らし分けることができます。
キースイッチは、使ったことの無い方には分かりにくいかも知れませんが、触ってみると簡単です。
その鍵盤を押さえている間だけ音色が切り替わるというもので、直接音を鳴らすためのキーではなく、いわば音色切り換え用スイッチとして鍵盤を用いるものです。
デフォルトではE1, F1など低音にアサインされます。
例えばG#1を押さえている間に演奏した音はハーモニクスに切り替わり、A#1を押さえながらだとミュートしたゴーストノートが鳴るといった具合です。

Live Modeは本来は複数の音色を使い分けるものですので、シンセ音源であるOmnisphereでは通常全く異なる音色を鳴らし分けるのに使用しますが、Trilianでは同じベースの異なる奏法を鳴らし分けるために用いるわけです。

Trilianの良さは何と言ってもサウンドクオリティの高さが第一です。
しかしながらスピードを求められる制作現場においては、格段にワークフローの効率化につながるというのも嬉しいところです。
と言うのも、従来のソフトウェアでは奏法ごとに別のMIDIトラックに分ける必要があり、それを1つのMIDIトラックで完結できるというのは単純に作業量を減らせるということで、非常に大きなメリットなんです。

ベースを弾けない鍵盤弾きの方、Trilianで指ベーシストデビューしませんか?


21 9月 10

TrilianのCPU負荷は?


おはようございます、スタッフミッチーです。
先日たまに行く足つぼに行ったら、「おしっこの切れが良くないでしょ?石が溜まってるかもね。」って言われました。超ブルーです…。

そんなことはさておき!
本日9/21から開始のキャンペーンがあること、ご存知でしょうか?
Spectrasonics社のフラッグシップ音源3タイトルが、27%OFFでの数量限定特価です!
Spectrasonics製品では初めてのキャンペーン、しかも数量限定ということもあり、弊社オンラインストアでは取り扱っておりません。
全国の楽器店様でご購入下さいますよう、お願い致します。

 ← キャンペーンの詳細はこちら

おかげさまで、3製品とも発売当初から非常にご好評を頂いております。
元々の完成度が高いことに加え、ユーザーのニーズに合ったアップデートを行うことで、非常に息の長いソフトウェアとしてご愛用いただいております。
一度ご購入いただくと、末永くお付き合いいただけること請け合いです。
しかもこれまで殆どの場合、ディスクの供給が必要となるものを除きアップデートは無償です。

特にハリウッドライクな映画音楽を作るのに、Omnisphereは欠かせません!
実際、学生のときに映画音楽の勉強をしていてSpectrasonics製品(Atmosphere)を初めて使ったとき、正直「これは卑怯だ!」と思いました。

さて、安心してご購入いただくため、今回も「ちょっと古め」のマシンでも快適に動作するかどうか、検証を行います。
是非ともお得なこの機会に導入していただければと思いますので、ご購入の際の参考になれば幸いです。

検証に用いるソフトウェアですが、以下の理由から今回はTrilianを用いることにしました。
・Stylus RMXは他の2製品(Omnisphere, Trilian)に比べて負荷が低めですので、今回の検証には向いていません。
・CPUへの負荷を検証するため、サイズが大きめのパッチを読み込み、かつバッファサイズをある程度下げた状態で動作させます。
→ パッチのデータサイズが最も大きいのはTrilianのAcoustic Bassですので、今回はTrilianを用いることにしました。

使用したパッチは、Ac1 – Full Range CleanおよびTR – Doubled Fretless Sustainの2種類です。

■■ 検証条件など ■■
今回は、前回のMcDSPと同様、以下の条件にてテストしてみました。
使用するコンピュータは、2006年にリリースされた MacBookProです。Webカメラ機能が付けられたモデルですね。
OS X 10.6.4、CPUクロックは2.2GHz、メモリは4GBです。薄くなって進化したMac miniと恐らく同等くらいの処理能力ではないかと思われます。今回は手元にオーディオ・インターフェースが無かったので、Macの内蔵出力を用いて検証を行います。

ただ検証するだけではなく、Trilianの音もちゃんと聞いていただきたいので、ジャズのピアノトリオを模して録音してみます。簡単に本物のベーシストっぽく弾けてしまう、Trilianでの指ベースにもご注目あれ。

ピアノ: Modartt Pianoteq
ベース:Spectrasonics Trilian(Acoustic Bass, Fretless Bassの2種類で検証)
ドラムス:FXpansion BFD2

では検証開始です。
まずはLogic 9(32bit版)を起動。
準備としてピアノとドラムのバックトラックを打ち込み、フリーズしてそれらの負荷を低く抑えておきます。
次に、Logic上でCPU負荷を表示するメーターを中央に表示。真ん中にご注目あれ!
あとは、QuickTimeの画面収録をONにして、準備完了です。

CPU負荷は中央のメーターに表示されています。
おおむね20~30%くらいで推移していますね。
バッファサイズを256に設定していますので、演奏していてレイテンシーは全く気になりません。

■■ 検証結果 ■■
いかがだったでしょうか。4年前のモデルのMacBookでも全く問題なく、Trilianの演奏が行えました。
Omnisphereと同時に起動して複数のパッチを鳴らすとなると、さすがに厳しい場合も出てくる可能性は考えられますが、その場合でも随時フリーズしていけば問題なくご使用いただけます。
もちろん、現在リリースされているMacBookシリーズでは、CPUクロック、バス速度ともに強化されていることもあっ て、より快適にご使用いただけるのではないかと思います。

今回が初となりますSpectrasonics製品のキャンペーンは、本日9/21から1ヶ月間です。
数量限定特価ですので、万一売り切れの場合はご容赦ください。

*ご注意: 今回使用したマシンは特にOSの再インストールなどを行わず、Trilianをインストールしてテストしています。正確な負荷値を示すものではありません。ご参考の一助としていただければ幸いです。


18 11月 09

TRILIAN デモムービー日本語版、一挙公開


スタッフHです。

1つ前のエントリーでは、Phatboyプレゼントへの応募、ありがとうございました。抽選の結果、5名の方あてにメールにて当選をお知らせいたしております。発送は順次行いますので、当選された方はいましばしお待ち下さいね。また、なにか面白い使い方を見つけたら、是非ムービーや音声で私たちまでご連絡いただけると、嬉しいです。

さて、Twitterでは順次ポストしていたのですが、今月末にいよいよ日本国内でも発売となるSpectrasonics TRILIAN。連日問い合わせもありますし、楽器店さんに営業でお伺いすると、まず第一声は「TRILIANの発売日は?」ですし。

ここだけの話ですが、11/26に発売をする…予定です。

さてさて、あと1週間ほどの発売まで、TRILAINの日本語字幕つきデモムービーでもご覧いただきましょうか。YouTubeに公開したものですが、できればYouTubeページでHQモードでご覧いただくと、なかなか細かいところまで確認できます。おすすめ。

それじゃ、いきますよー。

続きを読む »


17 9月 09

Stylus RMX 1.9.0eリリース


こんにちは。スタッフSです。
Spectrasonics社より、Stylus RMX 1.9.0eがリリースされました。
fin_rmx_64-bit_600x268_for_news
本アップデータでは、OS10.6、Logic9など最新環境への対応と、64bit対応などが行われています。

OS10.6よりカーネルレベルで64bitの対応となりましたが、今後が楽しみですね。
市販されている音楽ソフトウェアの中で、OS X 64bit対応となっているものは1、2を争う早さではないでしょうか?
対応しているDAWは無いですが・・・

ちなみに、OS X付属のDeveloper Toolに含まれる、”AU Lab 2.0.1″は64bitに対応しているようです。

なお、弊社サポートページでは、OS10.6の対応状況を掲載しています。Omnisphereの10.6対応はもう少しお待ち下さい。

各メーカーから情報が入り次第、随時更新していますので、折りをみてご確認下さい。Twitterでもサポートページの更新情報を配信しています。

Stylus RMX 1.9.0eアップデータ サポート情報
http://second.minet.jp/support/content/view/344/35/

弊社取り扱い製品 MacOS 10.6 (Snow Leopard) 対応状況
http://second.minet.jp/support/content/view/376/

Stylus RMX製品情報
http://second.minet.jp/spectrasonics/stylus-rmx


22 4月 09

週末は初台アップルでIMSTA FESTA


スタッフHです。

さてさて今週末の土曜/日曜は、初台オペラシティー内にあるアップルジャパンさまにて、IMSTA FESTAが開催されます。国内のメーカー、代理店が一同に集うイベント。未発売のあの製品や、話題のこんな製品も見られる豪華なイベントです。

私たちのブースでは、

  • Spectrasonics | Omnisphere/Stylus RMX
  • FAW | Circle
  • Vital Arts | Plectrum
  • FXPansion | BFD2と、すべての拡張音源
  • Sonic Reality | Ocean Way Drums
  • Sample Modeling | The Trumpet/Mr.SAX T
  • あとは、ピアノ音源全部

この辺のソフトウェア・シンセサイザーをはじめ、

  • IK Multimedia | Amplitube Fender/StealthPedal(国内初公開)/T-RackS 3

なんかも展示します。

そしてデモ/セミナーブースでは、

  • 土曜(25日)永谷喬夫(surface) Plays Amplitube Fender
  • 日曜(26日)マスタリング・ツール T-RackS 3 デモ

を開催。永谷さんは私たちのブログページでもご協力いただいていますが、お忙しいところをなんとデモにご協力頂ける事になりました。何度か打ち合わせさせていただいてますが、ちょっとこれまでにないアンプ・シミュレータソフトウェアの凄さ、楽しさをお伝えできるような内容になりそうですよ。

あとは、店頭で試す事ができない(私たちのオンラインストアだけでしか販売してない)SampleModeling社の製品が試せたり、他社さんも初公開の製品があるかもしれませんからね。なかなか面白いイベントになりそうです。

IMSTA FESTAの参加は無料ですが、各デモ/セミナーには予約が必要です。ここまで書いておいてなんですが、私たちメディア・インテグレーションのデモ2つは、いずれも定員に達しているため、受付が終了しているみたいなんですよ…。

しかし、たぶん、おそらく、私の勘ですけど、保証はできませんが、立ち見とか…運良く席が空いているとか…あるかも…しれないので…ぜひお申し込みしてみてください。楽しいぞという事だけはお約束しておきます。

IMSTA FESTA各社デモの概要/申し込みページへのリンク

あ!そうそう、忘れてた。

日曜(26日)のT-RackS 3デモにご参加くださったお客様には、IK MultimediaよりT-RackS 3 EQをプレゼント!します。

プレゼント、つまりタダです。


Search

ブログ内を検索
2020年7月
« 2月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031