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23 1月 15

NAMM2015:Spectrasonics Omnisphere 2発表!


スタッフHです。

今年もNAMM SHOWの季節がやって参りました。今年現地にむかったのは、サポート部の癒しの新人、マツ(新婚)です。初日からかなり慌ただしいスケジュールのようで、各ブランドとのミーティング内容もまだまだこれから大量に情報が集まりそうな雰囲気。

そんなNAMM2015。さっそく「超・大型」の発表がありました。

発売から数ヶ月でもう話題にもならなくなるような製品も多いソフトウェア音源カテゴリにおいて、決して流行り廃りに流されないバーチャル・インストゥルメントのトップブランド、Spectrasonics。消費されるだけの音源を連発するのではなく、たった3つの音源に集中。さらにサウンドデザイン、サウンドクオリティーの面でも世界中から絶賛され続けている、紛れもないトップブランド。

そんなSpectrasonicsが、突如として発表したのがOmnisphere「2」 。同社のフラッグシップシンセサイザーであるOmnisphere、2008年の発売以来初のメジャー・アップデートをリリースしました。さっそくNAMM会場のSpectrasonicsブース(ILIOブース内)では、突然のニュースに多くの人が駆けつけているようです。

写真はエリック・パーシングSpectrasonics代表のFacebookページより


さて、そんなOmnisphere 2。どんなところがアップデートされたのでしょう。以下のビデオは、Spectrasonics代表のエリック・パーシングさんによるOmnisphere 2イントロダクションビデオ・日本語字幕版です。

ビデオの最後、エリックさんが非常に印象的なコメントをされています。ここに抜粋することにしましょう。

「最初のOmnisphereを発表したとき、”使い尽くすには一生かかるでしょう” と言ったのですが、それは冗談ではなく、本気なのです」

では、新しいOmnisphere 2の特徴をピックアップして参りましょう。


新しく強力なシンセシスの可能性

  • オーディオインポート機能の搭載:お手持ちのオーディオファイルをOmnisphereのサウンドソースとして使用可能
  • 400種以上のDSPオシレーター波形を追加:前作の100倍以上!
  • ウェーブテーブルシンセシス:各波形はウェーブテーブルとしてモーフィングさせることが可能
  • パワフルで新しいグラニュラーシンセシス・アルゴリズムを搭載
  • よりディープなFM/リングモジュレーションにより、アグレッシブなサウンドメイクが可能
  • 新しいフィルターを8種追加:Power Filter、Vowel Filter、Resonantor Filter
  • アナログシンセ特有の「揺れ」を再現するユニゾンモードを搭載
  • モジュレーション機能の強化:より多くのソースで、より多くのターゲットをモジュレート可能に
  • ポリフォニックLFO、モジュレーションエンベロープ機能の追加
  • サウンドソースをリバース可能に

10,000を超えるサウンド

  • Spectrasonicsチームによる、新たに3,000パッチと大量のサウンドソースの追加
  • 最先端で先進的なEDMライブラリを追加
  • ディエゴ・ストッコが製作したカスタム・ビルド・インストゥルメントを収録
  • グラニュラー・シンセシス用にフレーズベースのサウンドソース・カテゴリを追加
  • 数百種類にもおよぶサーキット・ベンド(ゲーム機やオモチャの楽器など)のサウンドを追加
  • Spectrasonicsならではのサイコ・アコースティック・サンプルを大量に追加
  • 鍾乳洞で収録された他にはないメロディックなサウンドソースを新たに追加
  • さらにもっと!

新しいインターフェイス

  • 新しくデザインされた横長のインターフェイス、多くの改良
  • モジュレーションのパラメータ、状態やルーティングを常にウインドウに表示させる事が可能に
  • 常に表示可能なミニ・ブラウザ
  • より大きなフル・ブラウザ

改良されたサウンド・ブラウジング

  • Sound Match機能により「似ているサウンド」を膨大なパッチから絞り込むことが可能に
  • Sound Lock機能により、特定のパラメータ、エフェクトなどの状態を固定したまま別のサウンドをロード可能に
  • コラボレーション、サードパーティーライブラリ制作に最適なサウンド/プロジェクト共有機能
  • サウンド・オーガナイズシステムの改良
  • ロード前に、より快適な試聴が可能なエンジンの改良
  • 「気分」でサウンドセレクト
  • ジャンルの拡大
  • オシレーターのタイプでブラウジング
  • ブーリアン検索機能

アルペジエイターに搭載された新機能

  • ステップシーケンサーのように音階指定が可能に
  • アルペジエイターパターンをロックして、他のパッチに切り替え可能
  • Speed Offset機能により、スローダウン/スピードアップのような演出
  • アルペジエイターをモジュレーションで制御可能に

その他

  • 25種のラックエフェクトを追加
  • エフェクト部に大幅な改良
  • 更に多くの改良

リリースは4月末と発表されましたが、国内でのリリースはまだ未定(とはいえ、同時にリリースできるように調整中)。非常に多くの機能追加だけでなく、きっちり「改良」が加えられたOmnisphre 2。続報をお待ちください。

2015.1.25追記!

Spectrasonicsの代表であり、世界中のアーティスト、クリエイター、サウンドデザイナーからも尊敬を集めるエリック・パーシングさんより、日本のみなさまへメッセージビデオを追加しました。


03 4月 13

天才サウンドデザイナーの新作ムービー


スタッフHです。

本ブログでも何度かご紹介しているSpectrasonicsのサウンドデザイナー、ディエゴ・ストッコさん。彼はSpectrasonicsでOmnisphereやTrilianなどのサウンドデザインに携わる一方、アーティストとしても優れた作品を数多く生み出しているのですが、そんな彼の新作ムービーがアップされていました。

タイトルは「葉っぱとターンテーブルのデュエット」

ターンテーブルの回転に逆らうように様々な種類の葉っぱを当て、その(微細な)振動をマイクで広い、加工してこの曲を作っているのだそうです。ベースも、キックも、スネアも、全てを。

“先日、とある実験のためにターンテーブルを買ったけれども、期待したような結果が得られなかった。そしたら、ターンテーブル上の等間隔に刻まれた部分に気がついて、その時別のアイディアが浮かんできた。

約一時間、ターンテーブルの回転に逆らうように葉っぱ(数種類の葉、角度、圧力、折り目によってサウンドが決まる)をこすりつけ、短いフレーズをレコーディングし、サウンドをいくつも組み合わせてみた。ベース、キック、スネアなど全ての音はこのときのレコーディングで録ったものだ(EQやコンプレッサー、レゾネーターなどを使って加工した)。”

言葉にするといかにも曲芸的に思えますが、ディエゴさんの作品はいずれも「音楽的」である事がポイントでしょう。きちんと音楽としてイイものになるまで作り上げ、その後にドキュメントのように映像を差し込む。誰も注目していなかったものから「音楽」を作り出す。

以前も書きましたが、ディエゴさんは目や耳や鼻や指先だけでなく、まったく別のセンサーが備わっているように思えてなりません。


ディエゴさんのその他の作品は、下記のリンクよりどうぞ。

Vimeo : Diego Stoccoリンク


13 3月 13

Spectrasonicsユーザーストーリー:スティーブ・ヴァイ


本記事はSpectrasonicsウェブサイトのコンテンツを日本語化したものです。

元記事リンク(Spectrasonicsウェブサイトへのリンク)


スティーブ・ヴァイといえば、優れたコンポーザー/プロデューサーとしての活躍もさることながら、あらゆるプレーヤーから賞賛をうける真の「ギターの神」だ。フランク・ザッパのもとで不可能とも言われた演奏をこなし、デイヴィット・リー・ロスやホワイトスネイクとの活動ではチャートを席巻。そして優れた才能をもつミュージシャンを引き連れ、数えきれないほどのソロ・プロジェクトを手がけてきた。数百万枚にもおよぶアルバムセールス、そしてグラミー賞も3回獲得している。近年では作曲家として、エレクトリックギターと交響楽団のための作品を制作し、その手腕を振るった。優れたミュージシャンシップを体現し、自分自身にもリスナーにも挑戦し続けている。そしてスティーブは、Spectrasonicsのサウンド/インストゥルメントを創設初期から使用するユーザーでもある。

純粋なる想像力

ヴァイは早速ミュージシャンへのアドバイスを語ってくれた。

「想像力を自由に張り巡らすこと。ありきたりに聞こえるかもしれないけど、これは真剣に受け取ってほしい。そうすることで、現実の感覚ではとらえることのできない、真にクリエイティブなものを生み出せるからなんだ。例えば『この楽器がこう反応してくれれば、きっとこんな事ができるのに』とか…何でもいいんだけど、まだこの世界に存在していないもの。ないこと自体はそれほど重要じゃない、大切なのは想像力は無限なんだという事だ。じゃなきゃ実現する事もできない。想像力を暴走寸前まで巡らせなければ始まらない。大きな想像力にこだわることで、あらゆる宇宙的な力を引き出し、自分のものとしてこの世界に作り出すことができる。人が生み出した全ては『アイデア』から始まっているという事だよ。アイデアを頭に刻みつけ、強い思いを持って実現までの道のりを楽しむということだ。

バーチャルとライブ

ヴァイは自身のサウンドが紡ぎだす音風景に、Omnisphereのサウンドを巧みに織り込んでいる。そこにあるストーリーや意味を高め、リスナーを引き込んでいく。

Omnisphereは主にテクスチャーやアンビエンスなどの音響効果に近い役割に徹している。さらに、一流のベースプレイヤーがチームに参加している一方で、近年のトラックではTrilianがベースパートに使われる事もあるという。

「最近のアルバムなら、どの曲でも必ずSpectrasonicsのサウンドを聞く事ができるはずだ」

ボーカルサウンドも、彼の壮大な作品には欠かせない重要な役割を担っている。新作「The Story of Light」に収録された”Weeping China Doll” がいい例だろう。

「よくあるサンプル・ボイスは、必ずしも最適な環境でレコーディングされたものとは思えない。Omnisphereのボイスサウンドは、どれも統一感があって、しかも他では見つけられないようなバラエティに富んでいる。Gospel ChiorsやBoys Choirsが特にお気に入りだね」

他にも彼が重宝しているという、検索エンジンなどのOmnisphereの構造やインフラストラクチャーについても、

「とにかく選択肢が豊富だ。豊富すぎて音探しに何時間も没頭してしまうほどね!(笑)でも、欲しいサウンドがイメージできているなら、探すのは簡単さ。奏法で絞り込むことができるからね。ムニャムニャ(Babbling)とかドゥーワップ(Doo wop)なんかの変なものから、スフォルツァンド(Sfz)なんて細かい指定までできる。カテゴリー分けも素晴らしいね。カテゴリーで選んで、そこから検索で絞り込んでいく…ボーカルならタイプや性別、クラシカルや女性/少年とこまかく選べるしね」


すべての始まり

音楽への強いひらめきがスティーブに訪れたのは、まだ彼が幼かった頃だという。

「4歳くらいだったと思う。ピアノに向かって鍵盤を叩いたんだ。耳に届くもの全てを感じられるようだったし、音楽的な次元で音を『目で見る』ことすらできた。とても自然なことに感じられたんだ。音楽をそんな風に感じるのはミュージシャンだけだと気づいたのは、それからずいぶん経ってからさ」

スティーブ・ヴァイといえば、華々しい超絶技巧のロック・ギターで知られている。その事もあって、彼が長らく情熱を注いできたオーケストラ音楽作品は驚きを持って迎えられたかもしれない。

「ギターを弾き始める前から、作曲を学んでいた。最初のオーケストラ楽曲を書き上げたのは高校生の頃さ。そこからずっと続いている。僕のロック作品にも、もちろんオーケストラの作曲手法や影響を取り入れてきた。でも、心のどこかで良からぬ楽しみだなとも感じていたんだ。

リリースまでに7年という、あまりにも長い期間を要した理由の1つが、2時間以上にわたるオーケストラ作品を、オランダのメトロポール・オーケストラのために彼自身が作曲、レコーディングをしていたから、ということにある。さらに規模の大きい楽曲制作の依頼は、定期的にやってくるという。

「先日、ストラヴィンスキー・フェスティバルのための楽曲制作に招待されたよ。とてもエキサイティングなことなんだけど、こうした制作には途方もない時間がかかるんだ。僕にとって交響曲の作曲とは、自分で譜面を書き、オーケストラの構造も何もかも、すべて自分で考えるということなんだ。『Expanding the Universe』の制作には、一日15時間、5ヶ月を費やした。膨大な作業の集大成さ。でも僕にとってこれが本当にやりたいことなんだよ」

完璧なサウンド

それぞれの作品でOmnisphereを使用するにあたり、彼はサウンドのエンベロープを念入りに調整したという。自由に、かつ繊細にサウンドを磨き、理想的な状態で楽曲に溶け込むように。そしてサウンドそのものの使い方にも注意しているそうだ。

「そのサウンド次第で自分自身が現代的にも、懐古的にもなれる。だからメロディーやコード、ひいてはトラックの持つ意味や雰囲気など、全体をサポートするような、クリエイティブな使い方を心がけているよ」

「僕はエリック・パーシング(Spectrasonics クリエイティブ・ディレクター)の大ファンなんだ。自分が求める優れたクオリティの作品を提供してくれるからこそ、そのアーティストを追い求めたくなる。僕はエリックがリリースする全てのライブラリやプラグインを持っているよ。すごい作品だと思っているからね。Distorted Realityのサウンドを再加工してOmnisphereに収録したのも、とてもスマートだと思った。僕は未だにDistorted Realityの、今ではクラシックなあのサウンドを使い続けているからね。

前へ

最後にもう1つ。将来について。

「Spectrasonicsがどう進化していくのか、これからも期待している。そしてサウンド・デザイナー達の思い描くサウンドが、現実世界に縛られないものであってほしいと願っている。それこそが世界になかったものを生み出す力になるんだ」


スティーブ・ヴァイ オフィシャル・ウェブサイト

Les Paul Tech Award受賞時のキャリア・トリビュート映像がこちら

製品リンク

Omnisphere

Trilian

Distorted Reality


05 9月 11

開拓者でありつづけるミュージシャン、ハービー・ハンコックが使うツール


スタッフHです。

前回ポストのエリック・パーシングさんのインタビュー、楽しんでいただけましたか?非常にたくさんの方にお読み頂いているようで、嬉しい限りです。

エリック・パーシングさんは世界中のサウンドデザイナーからだけではなく、数多くのミュージシャンからも厚い信望を得ており、NAMM SHOWでは彼が立つステージには常に超ビッグミュージシャンがいるんですね。一般の人に混じって。そういったビッグミュージシャンにとっては、エリックさんが開発するインストゥルメントが楽しみで仕方ないようです。

本日ご紹介するのは、そんなビッグミュージシャンの一人。常に進化し続け、多くのファン、フォロワーのいるハービー・ハンコック氏。「ジャンルを超えた活動」とは、彼のためにあるような言葉ではないでしょうか。

ハービー・ハンコック氏は古くからのSpectrasonics製品のユーザー。以下は、Spectrasonicsウェブサイトで公開されているインタビューを翻訳したものです。

第一線のミュージシャンは、どのようにインストゥルメントを使うのか。非常に興味があります。

案外私たちと変わらない使い方をしていたりしたら…もっと精進しないといけませんね。では、レッツゴー。


近年のミュージックシーンを象徴する、ハービー・ハンコック。
彼は音楽の限界やジャンルなどという枠組を超えて、常に名声を保ち続けているアーティストである。


簡単に説明するならば、アコースティックやエレクトロニックジャズやR&Bと、ジャンルを超えて多大な影響を与えた数少ない人物だ。

また彼は他者に先駆け、ソフトウェアシンセなどの最新技術やコラボレーションに取り組んできた。私たちSpectrasonics社一同は、彼が長年にわたるSpectrasonicsのユーザーであることを、大変嬉しくかつ誇りに思う。


Discovering Spectrasonics

ハービーがOmnisphereを始めて触れた時、彼はこう感想を述べてくれた。

「何時間かけてでもいじっていたいほどのサウンドだ。時間を忘れるほど、のめり込んだよ。その楽しさを誰かと共有しようと思って、マーカス・ミラーに来てもらって、事前に温めておいたアイデアをジャムしたよ。あの夜は本当に楽しかった!」

「初めてStylus RMXを使った時のことも覚えているよ。あのグルーブにはただただ、感心させられた。Chaosやミックス等の中身の部分に慣れてさえしまえば、本当にできることが多いんだ。他にも、特にTime Designerとの連携など素晴らしい機能をたくさん積んでるしね」

サンプル・ライブラリなど、Spectrasonicsの旧製品も彼のアレンジでフィーチャーされている。

Vocal Planetなんかもよく使ってるよ。様々な文化圏の歌い手を自分のものにできるからね。数年前だけど、サラウンドのライブでVocal Planetを使った。現代的なバックグラウンド・ボーカル、ジャズのスキャット、トゥバの歌い手、ヒマラヤの女性ボーカル、こうしたサンプルをゴスペル・サウンドとのハーモニーを意識して使ってみたんだ」

Imagining the Possibilities

彼が手がけたアルバム、”Possibilities” の制作については、

「スティービー・ワンダーのカバーで、グルーブにStylus RMX、ベースにTrilianを使ったよ。このアルバムのドキュメンタリーの撮影では、Greg Phillinganesと僕がVocal PlanetとStylus RMXを使ってファンキーなグルーブを作ったりもしたね。そんな素晴らしい音楽が生まれる瞬間が、このプロジェクトのドキュメンタリーにおさめられているよ」

グラミー賞を受賞し、世界的にも大きな影響を及ぼした”Imagine Project”。このアルバムには特にOmnisphereとTrilianが使用されている。

「アルバムのある曲では、マーカス・ミラーがベースを担当している。でもレコーディングの後、彼のベースラインよりいいアイデアが浮かんだから、ベースラインを変えようと思って僕がTrilianを使ってキーボードで演奏したんだ。ちなみに、Trilianのベースサンプルのいくつかは誰の演奏か知ってるかい?

マーカス・ミラー本人だよ! 彼自身の演奏なんだ。意図的に彼の実際の演奏とTrilianの音をミックスしたってことだね。

マーカスが演奏した音と、僕がTrilianを使ってキーボードで演奏する音(笑)、どっちも彼なんだ!たぶん、彼には違いがわかると思うけどね」

Music from the Heart

良い作品をつくろうと、向上心のあるミュージシャンに対して何かアドバイスできることがあるかと尋ねたところ、彼はこう答えてくれた。

「音楽は人間をひとつにする素晴らしいものだ。大事なことは、君の心が大切だと感じる、思うところを表現すること。他人などに流されず、自分の信念を貫き通す勇気を持つことだ。たとえ、自分自身の中に疑念が湧いてしまったとしても、君のハート、信念にしたがって動くことだよ!」

常に未来を見据える彼は、こう続ける。

「近くとりかかる、ソロ・プロジェクトが楽しみだね。KorgのOasysやSpectrasonicsのOmnisphere、Trilian、Stylus RMX、これらの機材で作る音楽は、とてもエキサイティングなものになりそうだよ」

原文リンク:http://www.spectrasonics.net/news/news-content.php?id=60


03 9月 11

サウンドデザイナーのトップが語る、今までとこれから。


スタッフHです。

世界中にサウンドデザイナーという肩書きを持つ人はたくさんいますが、そういった中でもトップに君臨し続けることは、非常に難しい事です。

しかしながら、その困難に果敢にも挑み続け、他社のサウンドデザイナーからも尊敬される存在となる人物。それが、本日ご紹介するSpectrasonicsの創業者であり、クリエイティブ・ディレイクター、サウンドデザイナーである、エリック・パーシング氏です。

エリック・パーシング氏はかつてRolandに所属し、現在なお名機と呼ばれる数多くのシンセサイザーを生み出してきました。その後、自身のアイデアをより理想的な形で世界に発信するために、Spectrasonicsを設立することになるのです。

そんな生きる伝説、エリック・パーシング氏のこれまでの遍歴と、これからの将来について米国ウェブサイトのKVRにてロングインタビューが公開されました。私たちはKVRスタッフに許可をいただき、本記事を和訳しました。

私たちにとって大事なツールである未来のソフトウェアはどう進化していくのか。音楽制作に携わる全ての人に読んで欲しい、長編インタビュー記事です。

Big thank you, Chris and all KVR staff for letting us post this article!


エリック・パーシング(Spectrasonics)インタビュー

記事/インタビュー:Chris Halaby(KVR Audio):翻訳:Media Integration Staff OK

およそあらゆる業界は常にチャンピオンを必要としている。個人、会社を問わず、マーケット全体を推進し、他の全ての人々が目指すべきハードルを常に引き上げていく存在を。

Spectrasoncisの創業者でありクリエイティブ・ディレクター、エリック・パーシング(Eric Persing)は、ソフトウェア・プラグイン/サウンド・デザイン業界における、そんなチャンピオンの一人だ。

音楽関連の製品に携わる多くの人々と同じく、エリックのキャリアは、ある楽器店からスタートした。しかし80年代初頭のMIDI誕生から間もなく、当時ローランドUSを率いていたTom Beckmenに見出され、彼はローランドで働き始める。(Tomはその後Opcode Systemsの株式を取得、引退した現在はなんとワイナリーを経営している)

当時の私は知らなかったが、私とエリックとの初めての出会いは、ローランドD-50の購入を通じてだった。彼はこの有名なシンセサイザーを始めとして、数多くのクラシック・シンセサイザーのサウンド・デザインを手がけていたのだ。その後、私の購入した殆どの製品は彼が開発に関わったものばかりだ。

私が最も頼りするインストゥルメントは、Spectrasonicsのフラッグシップ・プラグインOmnisphere、そしてTrilian、Stylus RMXだ。もしあなたがこれらを試したことがないとすれば、今まであなたは本当に重大なものを見逃してしまっているのだ、と言っておこう。


KVR:初めに、ローランドで働くことになった経緯を聞かせてもらえるかな。

1982年のこと、カリフォルニア州オレンジ郡にあった、当時としては相当普通じゃない、Goodman Musicという楽器店で働き始めた。この店のすごかったのは、世界に存在するあらゆるキーボード、シンセ、オルガン、ピアノを全て揃える、という野望を持っていたことだ!

でもおかしなことに、店舗は巨大で高速道路からでも見えるのに、たどり着くのにものすごく骨が折れたんだ。そんなわけで、残念なことに客はほとんどやってこなかった!

客が来なければ、することもない。なので僕らはすべての時間を使って、店中の機材で実験を繰り返した。MIDIが登場したばかりのすごくエキサイティングな時代だったから、店のあらゆるものをMIDIで繋ごうとしたんだ。でも当時はこうしたことさえ非常に複雑でね、その頃のMIDIキーボードの多くは、1チャンネルのMIDIしか送信できなかったんだ。にも関わらず、受信側は16チャンネル全てをオムニ・モードで受けてしまう。でもなんとか方法を見つけ出して、全機材が正しく動くように設定したんだよ。

店にいる間は昼夜を問わず、まるで開拓者みたいな気分だったな。全部の機材がMIDI接続され、巨大なPAにつながっている。客がやってくると、僕らは「ちょっとこっちにきてみなよ」と声をかけて、再生ボタンを押す、そうすると店中にあるシンセが唸りを上げて鳴り出すんだ。彼は「なんだこれ!」と驚くわけだ。

ちょうどその頃、Roland JX3Pが発売されて、収録されたファクトリー・パッチが、その……酷かったんだ…。funny catだのspace boyだの、80年代初めにありがちな、冴えないサウンド。そこで僕は独自にプリセットを作り始めた。JX3Pは2オシレータを搭載していたけれど、Prophet 5よりもはるかに安かったんだ。Prophet 5のサウンドを再現して、それを元にめちゃくちゃ凝ったパッチを32個作った。で、当時この店でJX3Pを買ってくれた人には、追加の100ドルで、この32パッチを収録したデータ・カセットも提供していたんだ (編集注:ちなみに現在Omnisphereには8000ものパッチが収録されている)。ほかにもいくつか裏技を見つけてね、例えばあるボタンの組み合わせでシーケンサーのメモリを2倍にできる、とか。インターネットのある今では考えられないけど、当時は20ドルでこうした裏技も教えていたんだよ(笑)。


ローランドS-50の発表、1986年あるとき、ローランドのセールス・トレーニング担当者が「これは、いったいどうやったんだい?」と尋ねてきて、結局彼にも仕組みを教えることになった!するとTom Beckman(ローランドUSの創業者)がこの事件を聞きつけたみたいで、「オレンジ郡の店で何が起きてるんだ?」と。で、彼が来店することになって、それはもう盛大なデモをやったんだ、さっき言ったJX3Pパッチも使ってね。最終的に、1984年のNAMMショウでデモを担当しないか、と誘われて…もうぶっ飛んだね!その年は新製品が山のように発表されたんだ。初のSMPTE-MIDIデバイスSBX-80、同じく初のMIDIドラムパッドOctapad、MIDIコントローラーにキーボード、モジュール、あとはSuper Jupiterとか。NAMMでの評判が良かったこともあって、ローランドのプロダクト・スペシャリスト兼ローランド・ジャパンのチーフ・サウンドデザイナー/コンサルタントとして働くことになったんだ。


KVR:今でもミスターK(梯 郁太郎氏、ローランド創業者)との親交はあるのかな?

梯 郁太郎氏とエリック・パーシング梯 郁太郎氏とエリック・パーシング

もちろん、折にふれて会うことがあるよ。彼は間違いなく僕のヒーローで、素晴らしい人物だ。”シンセサイザー界のウォルト・ディズニー”といって過言ではない。彼も80歳を超えているから、ぜひまた会う機会を得たいと思っているよ。


KVR:ではSpectrasonicsの歴史について話してもらえるかな。どうして自身で会社を始めようと思ったの?

90年代の初頭、僕はロスアンゼルスでセッション・ミュージシャン/プロデューサー/アレンジャーとしてすごく多忙な日々を送っていた。ローランド・ジャパンでもサンプル・ライブラリのレコーディングや開発を手がけていたしね。どちらの世界でも起こり始めた、ドラマチックな変革が明確になってきた頃だ。

音楽業界では、一緒に仕事をするミュージシャンやプロデューサーが、大勢の人間を一箇所に集めて音楽を作るかわりに、一人で作業をするようになっていった。日本では、ローランドの哲学が「バーチャル」なものにそれほど積極的ではないと、僕は気づき始めたんだ。彼らにとってサウンドはあくまでハードウェアに付属するものだった。ハードウェアのために工場を稼働させなくてはいけない、でもバーチャル・ソフトウェアを作るのに工場は必要なかった。
同じ頃、まだ小さかった「インターネット」なるものについて耳にするようになってね…(笑)

KVR:そう、あれはちょっとどころじゃない大変革だった!

こうした世界が互いにぶつかりあう中で、当時の僕はJV-1080の開発に携わっていたんだ。でも音楽プロデューサーにとって、僕を一日雇って何個かのカスタム・サウンドを作るより、僕が作った500以上のパッチを収録するローランド・シンセサイザーを買うほうが、格安というわけだ。自分自身を失業に追い込もうとしていることに気付かされたんだよ!

KVR:なんてこった!

と同時に、その頃「Bass Legends」サウンドライブラリのアイデアを温めていた。スタジオでの仕事を通じて、マーカス・ミラーや、エイブラハム・ラボリエル、ジョン・パチトゥッチといったベーシスト達と親交があったからね。

でもこのアイデアを実現するには、ローランドがベストな場所じゃないことは分かっていた。どうしていいか、くじけそうになった時、妻のLoreyが「ねえ、自分たちでやればいいわよ!」と背中を押してくれたんだ。こうしてSpectrasonicsは、ひっそりと始まったんだよ。

KVR:当時のSpectrasonicsはハードウェア・サンプラー用のサウンドを専門に制作していたよね。

そう。ハンス・ジマーを始めとする、本当に素晴らしいミュージシャンたちと仕事をする栄誉に恵まれた。おかげで、事実キッチンに引いた5回線の電話しかない小さな自営業にも関わらず、創立当初から、ハイ・プロファイルなプロ仕様のイメージをアピールすることができた。始まりは小さなアイデアに過ぎなかったものが、ここまで大きく成長してきたんだ。

KVR:Spectrasonicsは、最も早くからスケールの大きなバーチャル・インストゥルメントを発売したメーカーだ。サウンド制作からフルタイムのソフトウェア開発へと、どんな変遷があったのかな。

かなり初期の段階で、数多くあるサンプラーのプラットフォーム全てに対応することは、重荷になるだけでなく、アイデアの実現そのものを制限してしまうことは明らだった。僕らはコンピューターこそが未来だと信じ、その好奇心もあって、ソフトウェア・シンセサイザーの開発に取り組み始めたんだ。

しかし、僕自身ソフトウェア・プログラマーではないし、どうやってバーチャル・インストゥルメントを実現するべきかについて、具体的なアイデアもあまりなかった。Spectrasonics最初のインストゥルメント、Atmosphere、Trilogy、Stylusは、当時フランスでUVIエンジンの開発を行っていた友人からライセンスを受けた技術を使い、リリースされた。こうしたインストゥルメント製品の成功から、ソフトウェア会社とはどうあるべきか、学ぶことが多かったよ。

KVR:現在は全て自社で開発を行っているんだね。

現在のSpectrasonicsチームそうだ。最初のインストゥルメント製品群をリリースした後、アイデアを思うとおりに実現し、継続していくには、専門のソフトウェア・チームが必要だということがはっきりしたんだ。Glenn Olander(Crystalシンセサイザー開発者)をソフトウェア・チームのチーフに迎えられたことは、本当に幸運だった。その後のSpectrasonics製品は、すべて自社で開発したテクノロジーに移行した。Stylus RMXに搭載したS.A.G.E、そしてフラッグシップとなるOmnisphereとTrilianを駆動するSTEAMエンジンは、本当に強力なものだ。ここまで本当に大冒険の道のりだったよ!

KVR:Spectrasonicsの開発理念をふたつの言葉で表すとすれば、なんだろう。

“パワフルかつシンプル”。これが全てのデザイン理念におけるガイドラインだ。複雑で強力なツールを、本当に簡単に使える、創作意欲をかきたてるものにしたいんだよ。


KVR:ところで、いわゆる音楽教育を受けたことはあるかい。

もちろん、僕は音楽一家に育ったんだ。父はあらゆる楽器を演奏する。聖歌隊の監督や、スタンフォード大学でも教鞭を取っていたし、交響楽団で演奏もしていた。周りには常に音楽があって、ピアノを教えてくれたのは母だ。といっても、その他全てのことは独学で学んだよ。シンセサイザーについて言えば、70年代にはまだ新しい分野だったから、どのみち自分で勉強する必要があった。Alan Strangeの「Electronic Music: Systems, Techniques, and Controls」を子供の頃に手に入れて、それこそ本にあることは全て学んだ。本物のシンセを買えるようになる、はるか以前のことだよ。

当時、小学校6年だったと思う。サンフランシスコにあったGuitar Centerを訪れたんだ。当時はこの店舗ひとつきりで、しかもまだまだ小さかった。そこにはシンセサイザー専用のクールな部屋があって、Moog Modularが全部揃っていた。Sequential Circuits programmerの初期モデルもあったね。Prophet 5のはるか以前の話。ヘビーな部屋だったなあ。一日中Minimoogを演奏して、どうやってサウンドをオフにするかも分からなかった!

KVR:今のGuitar Centarからは想像もできないね。

(笑)まったく、でも一日中そこで過ごして、僕のDNAは永遠に書き換えられてしまったんだ。初めてシンセサイザーに触れたあの日以来、それ以外のことは考えられなくなってしまったよ。


KVR:よく聞く音楽は何だい、またそうした音楽は製品の開発に何らかの影響及ぼしているだろうか。

我ながら、音楽の趣味はそれこそ種々雑多だね。またそれが色々な意味で役立っている。Spectrasonicsのユーザーは、特に現在、スタイルやサウンド、分野も様々だからね。アコースティック、エレクトリック、エレクトロニック、とにかく幅広いスタイルに興味を持って好きになること、これが大きな助けになっている。

そうだな、ヴァンゲリスの影響は大きいね、あとクラフトワークやELP、ヤン・ハマー、イエス、ジェネシス、トーマス・ドルビー…みんなにも馴染み深いアーティストだね。あと当時でもそれほど有名ではなかったけど、とても重要なエレクトロニック・ミュージックの先人たち、ロジャー・パウウェルのソロ作品とか。最近では、音響が先鋭的で、かつ音楽的に破綻していないオリジナルなサウンドだったらどんなものでも好きだよ。アモン・トビン、スクエア・プッシャー、エイフェックス・ツイン、他にも現在進行形のエクスペリメンタルなもの。ポップ・ミュージックでは、イモージェン・ヒープのファンなんだ。彼女は素晴らしいね。

KVR:彼女はすごいね。特にFrou FrouでGuy Sigsworthと組んでいた曲とか。ところで、Moogを使った作品に絞ると、長年聞いた中で特に重要だと思う作品はあるかな。

一番最初に思いつくのは、ラリー・ファーストのSynergyが1978年にリリースしたアルバム「Cords」の「Phobos and Deimos Go To Mars」という曲かな。アルバムもすごくいい。

ラリーの作品、特にさっきの曲で、僕は初めてサンプル&ホールドが炸裂する、リッチなアナログ・サウンドを体験したんだ。でもELPのKarn Evil #9みたいなフィルターじゃない、モジュラー・シンセが火を吹くようにサウンドを発し、全てがランダムだ。OmnisphereのBob Moog Tribute Libraryにラリーが参加してくれたことは、大変な栄誉だった。彼が提供してくれたサウンドは、実際にアルバムで使用されたものだった。マルチトラック・マスターの手になる逸品だ。聞いてすぐに、これは「Games」で使われたサウンドだ!と気づいたくらいだ。

今の人達は知らないかもしれないけど、ラリー・ファーストは、ピーター・ガブリエルの作品にも深く関わっている。「Biko」のバグパイプを初め、数多くの印象深いサウンドを創りだした。バグパイプのサウンドはラリーがModular Moogで作ったものなんだ、本物じゃないんだよ!

あとはウェンディ・カルロス、音響的なボキャブラリーを推し広げたという意味で、彼女の貢献は計り知れない。

KVR:Spectrasonicsは、ユーザーと製品のインタラクティブな関わりをとても重視している。良くも悪くも、テクノロジーの変遷がユーザーの体験に与えてきた影響を、どう見ているかな。

ポジティブに考えれば、あらゆるものへのアクセスが容易になり、サイズも格段に小さくなって、どこにでも持ち運べるようになった。上手に使えば、思いついたことを何でも実現できる。素晴らしいクオリティと質感を備えたサウンドを、信じられないほど安価に手にすることができる、その進化にめまいがするほどだ。

障害となっていた壁は全て崩れ、無いも同然の状態だ。でもそれが別の興味深い問題として現れてくる。何もかもが努力を必要としないから、簡単に創作のモチベーションを失ってしまうんだ。ハードウェアシンセと巨大でコストの掛かるスタジオが全盛だった時代と違って、何かのiPadアプリを、いつの日か手にいれてやろう、なんて夢見る人はいない。すぐさまアプリを手に入れ、数日使ってみる、飽きたらまた別のものを試す。こうした使い捨ての問題が、誰も予想しえなかった音楽テクノロジーにおけるダークサイドだ。

Apple カメラ・コネクション・キット for iPad / iPhone

でも、たとえばiPadにMIDIを繋ごうとする人はまだ少ない。決して難しいことじゃないのに。今MIDIを試しているのは、実際のところ開発者がほとんどだ。エンドユーザーではあまり見かけない。そして見せてみると「え、そんなことができるのか?」という反応が返ってくる。

アップルが出しているカメラコネクション・キットとUSBケーブルで繋げることができる。もし「えー、僕のキーボードにはUSBなんて付いてないよ」なんて場合は、USB-MIDIの変換ケーブルを使えば、大した問題ではないんだ。どこの楽器屋でも売ってる(笑)。

こうした状況も、新しいデバイス、AlesisのIO Dockなどによって変わってくるかもしれないね。実は先日買ったばかりだけど。間違いなく今までの流れを変えるものだし、iPadをポータブル・マルチトラックレコーダー/サウンドモジュール/MIDIデバイスにすることができる。iPadの可能性を見過ごしてきた人にとって、大きな架け橋になると思う。

つまり、そう。間違いなく、良くも悪くもあらゆることが大きく変わった。

KVR:この変化はソフトウェア業界にどういった影響をおよぼすだろう。今はまるで新しい土地の奪い合いだ。NIみたいな大会社から、聞いたこともないソフトカンパニーまで。新しくて奇抜なものなら、ユーザーはとにかく買って試そうという…

いずれ落ち着いていくとは思うよ。既に飽和状態に達しているし、それはあっという間に起こったから。


KVR:今後(iOS向けのなどの)アプリ価格は、他の製品が参入することで上がっていくと思うかい?Omni-TRの開発にどれくらいかかったかは知らないけれど、少なくとも2〜3週間でできるものではないよね。

その年のかなりの期間を費やしている、でもOmni-TRについて、これでお金を稼ごうとは僕らは考えていないんだ。Omnisphereがもっと欲しくなるようなアプリだからね。Omni-TRは、Omnisphereをよりフィジカルに使うための可能性を開いたアプリだ。iPadのタッチ・リモート(TR)コンセプトに、僕らは相当興奮したんだ。間違いなく、今後もこのコンセプトを推し進めるつもりだよ。iPad/タブレットの世界がどうなるかは未知だけど、従来スタイルのコンピューターの方が常によりパワフルである、という事実は変わらないと思うんだ。それぞれの長所を活かすことで、どちらも賞賛に値するものになる。

Omni TR(タッチ・リモート)for iPad

僕が常に興味を持っているのは、新しいコンピューターを使うことで生まれる、音楽・音響の新たな可能性、その可能性がどんな風に僕らの開発環境を次のレベルへ引き上げてくれるか、といったことだ。マスマーケット向けのこじんまりした「ほかより使えない」製品を作ることではない。すでに大勢の人がそうしているし、中には素晴らしいものもあるけれど、多くのそうした製品は短命に終わってしまう。iPadの持つ根源的なアドバンテージは、素晴らしいインタラクティブ性を備えたタッチ・ユーザーインターフェースにあると思う。これでホスト・コンピューターが必要なパワーを提供できれば、両者のベストな特性を利用できるんだ。

業界的な話をすれば、AppleがGarageBand for iPadでやったことは本当にすごい…でも4.99ドルという価格は、あまりにクレイジーだよ。盛り込まれたアイデアはどれも素晴らしいし、ミュージシャンとしてはとても気に入っている。でもAppleがあまりに低価格に設定したことで、ある意味で多くの開発者のイノベーションを潰してしまっているんだ。20ドルじゃダメだったのかな?ときとして、あまりにもマス向けのやり方は、個人の開発者たちを抑圧してしまう。あんなにパワフルなDAWソフトがたったの5ドルだなんて、どうやって太刀打ちしたらいい?

KVR:全く同感だ、おかしいよね。あれを見て誰が次にiPadレコーディング・アプリを出そうと思うだろう。

彼らは「ハードルを上げるもの」といって発表したし、プログラミング的な観点からすると、まったくそのとおりだ。でも逆に価格のハードルを下げてしまった。ソフトウェアをまるで何でもないように扱うことは健全とは思えないし、これがどういう方向に向かうかは分からない。はっきりしているのは、iPadやそれに類するものは、今後スタジオでも大きな役割を担うだろうということだ。優れたインターフェースと持ち運びのしやすさがもたらす利点は大きい。

Studio Logic

音楽関連の製品でも、iPadを統合する動きが出てきているね。StudioLogicのMIDIコントローラーは、ディスプレイを省くことで価格を抑えた。もしディスプレイが欲しければ簡単だ、iPadをスライド固定すれば、全部のコントローラーがそこに表示される。iPadが楽器の一部、ディスプレイに取って代わる。

こうした場合、開発者は直接iPadアプリを販売して利益を得る必要がない。でも製品への付加価値はとてつもなく大きい。製品の規模が大きくなるほど、こうした傾向が顕著になってくるはずだ。

KVR:今後バーチャル・インストゥルメントのデザインと「タッチ操作」はどう関わっていくだろう。

最近、少なくない人たちから、もう音楽を作らなくなったので持っているインストゥルメント製品を処分したい、という話を聞くんだ。僕にしてみれば「待って、なんだって?もう音楽を作らないってどういうことだい?」だよ。しばらく音楽を作ってきて、ある時点から作らなくなる…これはミュージック・ソフトウェア業界全体にとって、とても危険な兆候だよ。人々は所有するインストゥルメントと、心のつながりを持てないでいる、ということだからね。

iPadの優れた点の一つが、インストゥルメントに直接「触れる」ということだ。そうするとことで何かが起こって、本物の楽器のように、より強いつながりが生まれてくるんだ。マウスでこの感覚を得ることは難しいよね。

音楽制作はかつてないほど簡単になったけれど、ときに選択肢が多すぎると、1万個もチャンネルがあると、全部がどうでもいいと感じてしまう。僕らがごく少数のパワフルな製品に集中するのは、そういった理由もあるからなんだ

KVR:DX7の音色数は32パッチ、カートリッジで拡張しても64パッチだ。選択肢の数に圧倒されて、人々の興味が離れてしまうこともありうるということだね。

まさに。Omnisphereにも同じことが起こった。音色ライブラリがあまりに巨大すぎる*。パッチの数に圧倒されることなく素早く作業ができるよう、ブラウザ機能の改良は常に課題になっている。

*訳者注: Omnisphereのプリセット・パッチ数は8000を超える

ミュージシャンとしての経験上、あとソフトウェア・プラグインを多用するようなエレクトロニック・ミュージックのプロデューサーたちを見ていて気づいたことだけど、僕たちのような人間がハードウェア・シンセに魅せられてしまうのは、「そのとき限り」の瞬間を体験できるからだ。プリセットを保存できないハンズオンのアナログシンセ、Minimoogがまさにそうだし、例えばプリセットをプログラムできるJupiter 8でさえ、大規模なライブラリに頼ることはできない。Minimoogでは、今やっていることに必要な特定のサウンドを、その場で作ることになる。そこから生まれてくる相互作用は、とても美しいものだ。

こうしたプリセットを持たない楽器を、僕はなるべく大事に取っておくようにしている。その時の気分だったり、ある曲に必要になるサウンドだったり、必要に応じてその場で作っていく。そうすることで驚くほどの充足感を得られるんだ。Moogシンセサイザーを使う人々は、自分自身と楽器に、とてつもなく深いつながりを持っている。

ソフトウェア・シンセとこうした繋がりを持つことはとても難しい。このギャップを埋めるために、僕らは懸命に努力している。そういった意味でiPadは素晴らしいデバイスだ。新しいImposcar2のハードウェアコントローラーも同様にすごくエキサイティングだと思う。

でも、Omnisphereのようなインストゥルメントと繋がりを得るための近道は、ファクトリー・ライブラリーを全部無視して、とにかく触って、一からサウンドを創ってみることだよ!

KVR:ミュージシャンは自分の楽器を愛するべき、ということだね。

そのとおり!そうすれば、僕らが自分たちのインストゥルメントを同じように愛し、成長していくのを見ていたいと願っていることを、わかってもらえると思うんだ。これは単なるビジネスじゃない。500ドルのインストゥルメントは、今のご時世では高価な部類に入るだろう。僕らは最大限の努力を払って、その価値を保っていきたいと思っている。多くの人に、この楽器は価格に見合う素晴らしい価値がある、手に入れたくてたまらない、と感じてもらいたいんだ。趣味で音楽を作る人にとっても、手の届かない価格ではないよね。だから手にしてもらうための理由が少しでも多くなるよう、僕らは必死に頑張る。まあ、今までスタジオの機材一つに何千ドルも費やしてきたプロなら「もちろん!」と手にとってもらえるだろうけどね。


KVR:ボブ・モーグ財団(Bob Moog Foundation)とBob Moog Tribute Libraryについて話してもらえるかい。素晴らしい出来栄えだし、色々な意味で君にとってもすごく重要なライブラリ製品だと思うんだけど。

45名以上もの世界中のアーティスト/サウンドデザイナーからサウンドを提供してもらったからね。この素晴らしいライブラリの制作はすごい勢いで進んだんだ。ライブラリの利益は100%、次世代への教育を目的として、ボブ・モーグ財団に寄付されている。

Bob Moog Library

さっきも話したとおり、子供の頃に初めて弾いたMinimoogは、僕のDNAを完全に組み換えてしまったんだ。冗談抜きに、もしボブ・モーグと彼の創造力がなければ、Spectrrasonicsは存在しなかっただろう。次の世代の人々に、Spectrasonics製品がどうやって生まれてきたかを理解してもらい、何事にもオープンな姿勢をもつ、という彼のスピリットを広めることは、とても重要なことだと思う。ときどき、現在のエレクトロニック・ミュージシャンの多くが、ものすごく細分化され、閉じた世界で活動しているように見えてしまうんだ。これはボブ・ムーグの精神性と相反するものだ。実際、Fairlight(Moogシリーズの競合製品だった、非アナログのサンプリング・シンセ)はボブ・モーグ本人が発表し、コンピューターこそガット弦以来の大発明で、将来ミュージシャンにとって最も重要な楽器になるだろうと予言したんだ。彼は、ミュージシャンは利用できるものを何でも利用すべきと考えていた。ペダル・エフェクトを使う、アンプを使う、ハードウェアもソフトウェアも、そしてプラグインも…使えるものは全て!最も大切なことは、クリエイティブでいること、インスピレーションを持つことだ。ビジョンを実現するためなら、どんなものだろうと使うべきなんだよ。

KVR:私もライブラリを購入させてもらったけど、これはお世辞抜きで本当に素晴らしいね。

Bob Moog Tributeのライブラリがすごく成功して、結果としてボブ・モーグ財団にも驚くほど貢献できたことは、僕らにとっても非常に嬉しいことだ。こうした機会が他のメーカーや開発者を触発して、クリエイティブなやり方で、価値ある運動のための基金を募ってくれればいいと思う。

OMG-1あと、同時に開催したOMG-1もすごく好評だった、世界中から何百人もの応募がきてね!受賞者の発表は9月15日(2011年、OMG-1カスタムシンセ以外にも、複数の受賞が発表される予定)だから、これもすごく楽しみにしているよ!


KVR:最後の質問だけど、もし無人島に持っていくならどの機材を選ぶ?

1976年製のYAMAHA CS-80だね。素晴らしいシンセサイザーだし、演奏していて、とてもインスピレーションをかきたててくれる。さて、そうすると持ち運びできる発電機も探さなくちゃな…

YAMAHA CS-80

彼のヒーローであるボブ・モーグ氏と同じく、エリック・パーシングは、常にクリエイティビティをかきたてる製品を作りたいと語ってくれた。ほとんどのユーザーは、彼が非常に大きなスケールでそれを実現していることに賛同してくれるだろう。ぜひSpectrasonics Omnisphereと拡張音源Bob Moog Tribute Libraryをチェックしてみて欲しい。

当ポストの制作に協力してくれたPaul de Benedictisに謝辞を表する。

原文リンク
Interview with Eric Persing by Chris Halaby for KVR Audio.

—–
(c) KVR Audio Plugin Resources 2000-2011

Courtesy of KVR Audio Plugin Resources

当記事はKVR Audio Plugin Resourcesの許諾により転載しています。


私スタッフH自身もエリックさん、およびSpectrasonicsチームには何度かお会いしたことがあります。みなさん心から音楽と楽器が好きで、情熱をもって製品を生み出している方々ばかりです。

発売から数年で陳腐化してしまう製品は数多くあれど、Spectrasonics製品ほど長年にわたって第一線でありつづけるインストゥルメントが他にあるでしょうか(しかも、機能追加のアップデートのほとんどが「無償」。定期的にアップデート料金があるわけでもありません)。

Spectrasonicsチームは、使ってくださるユーザーのみなさまを大切にします。生涯の相棒として、Spectrasonics製品を選んでいただけると嬉しいです。

Spectrasonics 製品詳細ページ >>


02 9月 11

ダブステップ・ベースサウンドを作るコツ


スタッフHです。

本日はサウンドメイキングのコツムービーを1つご紹介。SpectrasonicsのOmnisphereを使って、単なるサイン波からダブステップで生きるベースサウンドを創りだすコツが紹介されています。

V1.5で新規追加された機能を用いてのサウンドメイキング。サンプルは一切使っていません。


11 5月 11

昨日の音源当てクイズの答え


スタッフHです。

昨日、「なんの音源を使ってるでしょう」というクイズを出しましたが、本日は解答編。昨日のポストをご覧になっていない方のために、再度掲載しておきますね。

Audio clip: Adobe Flash Player (version 9 or above) is required to play this audio clip. Download the latest version here. You also need to have JavaScript enabled in your browser.

このナイロンギターのサンプルは、私たちの取扱い製品の何を使っているでしょう、という非常にピントのボケたクイズでした(笑)。

では、続きを読む、から解答編です。

正解はこちら。

続きを読む »


30 3月 11

Omnisphereに新サウンド登場。Bob Moog Tribute Library、そしてコンテスト開催


スタッフHです。

昨日私たちのTwitterでもちらりとツイートしましたが、Spectrasonicsのフラッグシップシンセサイザー、Omnisphereにはじめての有料拡張音源となる、Bob Moog Tribute Libraryが登場しました。

豪華、と一言で片付けることができないほどの著名アーティスト45名が拡張音源のもととなるサンプルと、そのサンプルを使用したプリセット(パッチ)を作成。パッチは新規で700種類が追加されます。日本人では坂本龍一さんが参加されています。

残念ながらこの拡張音源は、とある理由で日本国内での販売はありません。購入したい方は、Spectrasonicsウェブサイトから直接お申し込みいただく形となります。「とある理由」というのは、この100ドルの金額の全てがBob Moog Foundationに寄付される、という事なんですね。

ところでどうしてMoogさんへの寄付がSpectrasonicsで行われるの?という疑問をもたれた方もいるかもしれません。その答えは、2011年のNAMM SHOWにありました。

このビデオ、前半部分はSpectrasonicsの代表、エリック・パーシングさんのデモ演奏(弾いているシンセも気になると思いますが、それは後ほど!)、後半部分にBob Moogさんの愛娘さんからのメッセージという構成になっています。この中で、彼女はこう言っています。

「ボブ・モーグ自身は優れたエンジニアでしたが、決して商才に長けた人物ではありませんでした」

もしモーグ博士が商売の達人でもあったなら、いくらでも儲ける事はできたでしょう。ところが、モーグ博士自身にはそんな気はなかったようなんですね。

モーグ博士がMoog Synthesizerをつくらなかったら、私たちが今作ったり、聞いたりしている音楽は違うものになっていたことでしょう。きっとそれは、ものすごくつまらない物である気がします。

そんなBob Moog博士の功績を讃え、後世に残していこう、というのがBob Moog Foundation。そして、Spectrasonicsの代表エリック・パーシングさんは、これに自社をあげて協力しよう、という流れになったようなんですね。Moog Synthesizerを愛し、Moog博士を尊敬するエリックさんらしい男気です。

まずエリックさんはMoogのLittle Phattyをベースにした世界に一台だけのオリジナルシンセ、OMG-1を作成しました(OMGって…”Oh my God ! なのか、”Omnisphere/MooG“なのか…)

そして、この世界に一台だけのOMG-1を賞品とするコンテストを開催することを発表。Little Phattyに加え、Apple iPadを2台内蔵し、1台はOmnisphereをコントロールするアプリOmni TRを起動、一台はMac miniにインストールされたOmnisphereを映しだすディスプレイとして使用。上のムービーでエリックさんが弾いているのがまさにこのモンスター・シンセ。

エリックさんが行ったのはそれだけではありません。世界中のトップアーティスト/サウンドデザイナーたちにOmnisphere用の拡張音源、”Bob Moog Tribute Library”の作成を依頼し、収益の全てをBob Moog Foundationに寄付する、ということを発表。そして、この”Bob Moog Tribute Library”をもちいたコンテストを開催したのです。

コンテスト内容はとてもシンプル。OmnisphereユーザーがこのBob Moog Tribute Libraryを購入して、楽曲を制作。それをSpectrasonicsウェブサイトから応募するだけです。

コンテスト参加ルール

  • Bob Moog Tribute Libraryを購入して、あなたのオリジナル楽曲を作成してください
  • Bob Moog Tribute Libraryを購入したすべてのOmnisphere登録ユーザーに参加資格があります
  • Spectrasonics関係者や、関連会社の方、Tribute Libraryを作成したアーティストは参加できません
  • 評価ポイント:想像力、斬新さ、構成、作曲、アレンジや、サウンドデザインの技量も評価対象となります
  • スタイル:音楽ジャンルは問いません。ボーカル曲、インストもOK
  • 長さ:一曲に付き10分まで
  • フォーマット:mp3(320kbit/s 推奨)
  • 締切:現地時間(PST)2011年7月15日までにアップロードを完了させること
  • 審査:Bob Moog Tribute Libraryを制作したアーティスト/サウンドデザイナー、Spectrasonicsチームによって審査します。

ご注意

  • 自身が著作権を持っていない楽曲での参加は認められません
  • 著作権、知的所有権を遵守してください
  • 法律に違反するとみなされた応募作品に関しては、応募資格を無効とさせていただきます
  • 応募された楽曲は、SpectrasonicsおよびBob Moog Foundationがプロモーションで使用することがあります

つまり私たちメディア・インテグレーションのスタッフは残念ながら参加できませんが、本ブログをご覧の多くの方に参加資格があるという事になりますね。

私スタッフHも、コンテストには参加できませんが、Bob Moog Tribute Libraryは個人的に購入しました。容量は約2.5GB。最近では珍しくもない容量になってしまいましたが、Omnisphereのエンジンを通ったそのサウンドを演奏してみると、「音って、やっぱり容量だけでは語れないものだな」と感じます。

トリビュートライブラリの内容を一言ではいえませんが、TOTOのスティーブ・ポーカロが作成したシンセブラスはまんま「Africa」が弾けましたし(A Secret loveでも!)、ハンズ・ジマーのサウンドはフィルムミュージックに似合いそうなインパクトあるヒット音。Spectrasonicsチームとも仲の良いDave Spiersは、M-TronやimpOSCarをリリースしているG-Mediaの代表なんですよ。そんな彼が作成したパッチは、やっぱりアナログシンセの本当にイイ音を知ってるんだなぁと勉強させてくれるパッチですし、リチャード・ディバインは結構沢山のプリセットを作ってますが、エレクトロニカに限定しなくても使いたくなるものばかり。ハズレなしの鉄板でした。

Spectrasonicsウェブサイトにデモソングが大量に用意されていますので、ぜひ聴いてみてください。

Bob Moog Tribute Library オーディオサンプル >>

Bob Moog Tribute Libraryの詳細、購入はこちらから(Spectrasonicsウェブサイトリンク)>>


24 2月 11

Omnisphere 1.5アップデート


スタッフHです。

既にご存知の方も多いと思いますが、Spectrasonics Omnisphereのメジャー・アップデートとなるV1.5が公開されました。このアップデートは、Spectrasonicsならではのユーザー第一の姿勢で、登録ユーザー様には『無償』で提供されます。

当初2/15(現地時間)の公開が発表されていましたが、一日遅れの公開。Spectrasonicsの代表でもあるエリック・パーシングさんは、直前の直前までこのアップデートの作業に大量の時間を費やしていたそうです。公開予定だった2/15には、「48時間寝ていない」というコメントもあり、このメジャーアップデートの開発にどれだけ力をいれていたのかが伺えます。

ユーザーの満足や、喜んで製品を使ってくれる事が第一、というエリックさんの事ですから、1日の遅れの重さを理解しつつも、満足できない部分があったのかもしれません。

ということで、さっそくアップデート作業をしてみました。

アップデート方法の詳細は、下記のサポートページに記載してありますので、ご参照ください。

Omnisphere V1.5アップデート方法 詳細リンク

今回のアップデートでは、新機能でもある「Orb(オーブ)」が追加され、音そのものを「つかむ」かのような音色エディット/パフォーマンスができるようになりました。他では見たこともない、新しい体験をユーザーのみなさまに提供します。

このOrbは、iPad用の無償アプリ「Omni TR」でさらに直感的に使用できるのですが、Orb単体でも一つの記事になりそうなくらいのものなので、これはまた改めて。

それから、新しい780ものパッチ(いわゆる、”プリセット”)が追加されています。Omnisphereは定期的にこのパッチが追加されており、発売時に2000だったパッチは、現在すでに8000を超えるものになっています。

さらに、シンセサイザーエンジンそのもののが強力になっています。同じパッチを使っても、もっともっとディープな所までエディットできるようになりました。この辺も、別の機会にまたご紹介をしたいと思います。

まずは、NAMM 2011で行われたエリック・パーシングさんのV1.5デモの様子をビデオでご覧ください。そして、Omnisphereをお持ちの方は新しい体験をお楽しみくださいね。

Omnisphere 1.5 Demo from Spectrasonics on Vimeo.


24 1月 11

「スラムドッグ・ミリオネア」のダニー・ボイル監督新作「127 Hours」を彩るOmnisphereサウンド!


スタッフOKです。

本日は、Spectrasonics Newsから、ダニー・ボイル監督作品「スラムドッグ・ミリオネア」、そして同監督の最新作「127 Hours」の両作品で音楽を担当する作曲家、A.R.ラフマーン氏のインタビューをお届けします。

2009年のアカデミー賞8部門を受賞した、「スラムドッグ・ミリオネア」はストーリーは勿論、全編にわたって音楽がとても効果的に使われ、ラフマーン氏の音楽なしでは成り立たなかった?というと言いすぎでしょうか。それほど音楽が素晴らしかったことは間違いありません。

その二人が再びタッグを組む新作「127 Hours」は、まだ日本での公開は未定となっていますが、予告編↓だけでも期待が高まりますね。

しかもラフマーン氏は、長きに渡るSpectrasonicsユーザー、ボイル作品の芯を支える音楽/サウンドデザインにも、Spectrasonics製品、特にOmnisphereサウンドが深く関わっているとのこと。インタビュー記事は下記より!


オスカー受賞作曲家であり、長年のSpectrasonicsユーザーでもある、A.R.ラフマーンが、先日Spectrasonicsオフィスを訪れ、彼独自のクリエイティブなOmnisphereの使い方などについて語ってくれた。

世界中の話題をさらった「スラムドッグ・ミリオネア」に続く、ダニー・ボイル監督による新作映画「127 Hours」でも音楽を担当するラフマーン。米Time誌の「世界で最も影響力のある100人」にも選出され、手がけた作品のレコード売上トータルは2億枚を超える、現代で最もビッグな作曲家だ。

映画のほぼ全編が、たった一人の登場人物によって成り立つというユニークな作品で、楽曲制作の手応えなどについて、ラフマーン氏にお話を伺った。

James Franco on the set of 127 HOURS (Photo: Chuck Zlotnick)

「サントラの制作を始めるにあたって、最初は多少の不安も感じていたんだ。でもダニー(ボイル監督)がその不安を取り除いてくれた。なんにしても、彼の2作品にスコアを提供できたしね。

今回の楽曲コンセプトは本当にゆっくりと出来上がったんだ。脚本の段階から関わることができたから、時間的な余裕もあった。でもサウンドデザイン、音楽、無音部分、全てに慎重を要することになるだろうことがはっきりしてきたんだ」

さらにコンセプトがどのように発展したかについて、ラフマーンは語る

James Franco in 127 Hours (photo: Chuck Zlotnick)

「音楽は瞑想的でトリップ感のある、かつドライブにあふれるものにしようと決めたんだ。でも同時に親密さを備えていなくてはいけない。だから壮大なオーケストラ・サウンドは扱わないことにした。もちろん壮大な曲を映画に使うのは好きだけどね。

この映画のスコアでメインになるのは、ギターだ。そこにOmnisphereで作ったテクスチャーやサウンドデザインを山ほど加えている。このアプローチなら、都合よくコンサートの合間にホテルでレコーディングすることだってできるからね!」

映画音楽におけるサウンドデザインの行程を、さらに詳しく説明してもらった

「このスコアでは、Omnisphereがとにかく大量に使われているんだ。レコーディングしたOmnisphereのテクスチャーは一度オーディオにバウンスしておく。その後、生演奏のストリングスや様々な処理を施したものと合わせてミックスするんだ。

特にOmnisphereのグラニュラー・シンセ機能を使い込んだね。「Touch of the Sun」や 「RIP」などの場面は、加工を施したグラニュラー・サウンドをギターと重ねて作った。ダニーもすごく気に入ってくれたよ」

ラフマーンの「127 Hours」サウンドトラックは、ゴールデングローブ賞「最優秀楽曲」部門にノミネートされている。


ラフマーン氏Spectrasonicsオフィス訪問の様子

数々のオスカー受賞を機により多くの映画音楽を手がけるべく、インドからロスアンゼルスに移住した彼が、先日Spectrasonicsオフィスに立ち寄ってくれた。

SpectrasonicsディレクターのEric Percingとサウンドデザイン担当Diego Stoccoが、プラスチックのレコードで音色を再生する、1970年代の楽器「オプティガン」キーボードを紹介しているところ。


ラフマーン氏は、熱心なStylus RMXユーザーでもある。

「Stylus RMXは本当に印象的な楽器だ。曲のスケッチをあっという間に作れて、しかも音が素晴らしい。今まで作りためてきたグルーブのほとんどを、今はStylus RMXに読み込ませて使っているよ。

これらのグルーブを聞くところから始めて、作曲のアイデアを練っていくんだ。それからリズムパートを組み上げていく。RMXのグルーブに合わせて、ライブ・ミュージシャンにレコーディングしてもらい、その生演奏トラックをもう一度Stylus RMXに取り込んで、さらに加工することもある。いくつかの演奏はそのままにする。「スラムドッグ・ミリオネア」の楽曲はこうして作っていったんだ」

さらにインドにおけるSpectrasonics製品の重要性などについても聞いてみた

「Eric Percingは、音楽界においてとても重要な人物だ。もっと名前を知られて然るべきだよね。インドでもたくさんのミュージシャンがSpectrasonicsのソフトウェアを使っている。インドでは音楽会社と学校 (www.kmmc.in) を経営しているんだけど、もっと生徒たちにソフトウェアを学んで欲しいと思っているんだ」

原文リンク

映画“127 Hours”公式ウェブサイト

A・R・ラフマーン公式ウェブサイト

Omnisphere製品詳細についてはこちらから
http://second.minet.jp/spectrasonics/omnisphere

Stylus RMX製品詳細についてはこちらから
http://second.minet.jp/spectrasonics/stylus-rmx


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