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25 8月 14

ミックスに「栄養」を!Vitaminでミックスを再構築。耳の使い方を学ぶTips。


スタッフHです。

2014年春にWavesが突如としてリリースしたプラグイン、Vitamin。おおよそプラグインの名前らしくない、一見するとどんなプラグインなのかも分からないこのツールは、ただ単にリリースされただけでなく、WUP期間内のGold / Platinum / Diamond / Horizon / Mercuryバンドルをお持ちのユーザー「全員」に無償提供されたという事でも話題となりました。


こちらがVitaminのグラフィック。ぱっと見た感じは、マルチバンドのコンプのような、EQのような…やっぱり何者なのか詳しくは分かりません。そこでこんなビデオを。

ビデオでも触れられている通り、Vitaminは単なるEQ、単なるコンプ、単なるサチュレーター、単なるステレオイメージャーではありません。それらを複合して、各バンド毎に調整できるようにした新しいツールなのです。

Vitaminは何でもできます。

  • キックに重さを出したいけど、EQでただブーストしただけではブーミーになるだけ。欲しいサウンドのイメージはあるんだけど…
  • ミックスの中で埋もれない、ベースラインが見えるようなサウンドに仕上げたい。「パンチ感」ってどうやって出すの?
  • ドラムをまとめたステムミックス、かなりいい仕上がりになっているんだけど、ほんのちょっとだけ高域のハリ、伸びがほしい。また、キックやフロアタムがあるローエンドの「左右の広がり」を抑え、ミックスの濁りを減らしたい。
  • 友人にお願いして送ってもらったシンセトラック。低域から高域まで伸びた奇麗なサウンドを作ってくれたけど、自分のトラックと合わせてみると質感がまるで違う(もちろん、この処理こそがミックスの楽しみです!)。全帯域のバランスを一括で再構築するにはどうしたら…
  • ギターの処理。EQでブーストするだけではダメで、帯域を絞った処理が必要な事も分かってる。でも、ただカットしただけでは魅力が無くなってしまう…。左右のパンニングは?
  • クリーントーンのギター。ギター単体ではいい音しているのに、ミックスに入れた途端にしょぼくなってしまう。ごく僅かに歪ませて、少しクランチ感を出したいけど、ディストーションプラグインやアンプシミュレーター系だとまるで違うギターサウンドになってしまう。
  • タイトに仕上げたいアコースティックギター。EQやコンプではなく、録ったそのままの質感を生かしてミックスに使える音に仕上げられないか?
  • 大好きなマイクとこだわりの機材で録音したボーカル。サウンドに不満はないけど、ミックスの中に入れたときのパンチ感や、空気感の調整をしたい。素材をさらに魅力的に磨き上げるには…?
  • マスターチャンネル。各楽器のバランスはよく取れている。最後に「ごく僅かな」質感の調整と、ローエンドをモノラル化する作業だけを行いたい。

….と、もちろんこれらは一例ですが、Vitaminはこういったミックス作業に欠かせない処理を1つのプラグインで行う事ができます。ここでは、EQやコンプ、その他のプラグインを一切使わずに、Vitaminだけで各トラックを処理するというチュートリアルをご紹介しましょう。

ムービーはかなり長編。全編はドラムの処理、後半はベース、エレクトリックギター、アコースティックギター、ボーカル処理。それぞれ10分を超えますので、お時間のあるときにゆっくりご覧くださいね。

いかがでしたか?

もちろんこのチュートリアルムービーは、Waves Vitaminがあるからこそできる内容ですが、それぞれの処理中に語られる「ここにパンチ感」とか「オイシイところを探す」といった作業は、ミックスそのものの参考になると思います。「耳の使い方を学ぶ」いいチュートリアルです。

Waves Vitaminは、単体でご購入いただけるほか、Waves Gold / Platinum / Diamond / Horizon / Mercuryの各バンドルにも収録されていますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

Waves Vitaminについて>>


24 7月 14

スタッフルーム:チート系プラグイン?


スタッフHです。

先日リリースされたNugen Audioの新しいEQ、SEQ-S。Nugen Audioといえばラウドネスメーターで一躍有名になったブランドで、それ以外にもブロードキャストクオリティにも対応する非常に高品位な処理ができる製品をリリースしているブランドです。

このSEQ-S。普通のEQともっとも異なる点が「他のソースの特性を解析して、EQカーブを自動生成する」ということ。ここまでの機能(解析+自動カーブ生成)は、実はこれまでも他のブランドから同じようなものがリリースされており、リニアフェイズ処理ができる事やリアルタイムアナライザーを備えている事を加味しても、「まったく新しい」とは言い切れません。

とはいえ、いくつかのソースで試してみたのですが「もの凄い精度でEQカーブが生成される」という感動があった事は本当です。今日の記事ではSEQ-Sがメインではないため、ここは別の機会に改める事にします。具体的に例を挙げると、

  • 「○○風」のEQプリセットを使ったのに、全然それらしい雰囲気に仕上がったためしがない
  • 同じセッティング、同じマイクで同一の質感を狙ってレコーディングしてきたのに、あるワンテイクだけ質感が違っていてミックスに困っている
  • お気に入りのアーティストのレコードで、シンセベースがソロになった瞬間の「質感」を自分のシンセベーストラックに加味したい

さてさて。SEQ-Sがものすごいのはもう1つの機能である「Invert」を備えていること。この機能の使いどころを具体的に挙げると、

  • キックのサウンドは気に入っている。ここに絡むベースラインのEQ処理を「キックサウンドを殺さないように」仕上げたい
  • 中域に集まっているギターやエレピ、シンセなどのEQ処理に困っている。ボーカルを邪魔しないようなEQカーブに仕上げられない
  • そもそもEQが苦手。勉強をしながら参考書のようにEQカーブを示してくれるものがあったら良いのに

こんなところでしょうか。もちろん、シンプルでハイクオリティなEQである事も大前提です。


このSEQ-S。公開直後にはじつに様々な反応がありました。「そんなのずるい、経験がなくても、誰でもイイEQが作れるじゃないか(それはそれで良いことだと思いますけどね)」とか「自分はそこそこ経験があるつもりだけど、これは素晴らしい。クオリティアップと時間短縮が一気に手に入る」とか。


…様々な反応を見ていたときに、過去にもこういった両極端の反応を頂いた製品があったなぁと思い出しました。ボーカルオートメーション(手コンプ)を自動でやってしまうという、WAVESのVocal Riderです。

ボーカルオートメーションは経験ある熟練のエンジニアのトップテクニックでした(今でもそうだと思います)。通常のコンプで潰してしまってはニュアンスが失われるところを、リアルタイムでフェーダーを動かしながら「埋もれない」ボーカル仕上げをするテクニック。Vocal Riderはボーカル以外のソースをキー・インに入れることで、オケとボーカルを監視しながら「埋もれない」ボーカルオートメーションを自動で書いてくれるプラグインなのです。

さすがにVocal Riderを第一線で活躍するエンジニアさん達にご紹介するのは気が進みませんでしたが、私自身の好奇心もあってとあるエンジニアさんにご紹介してみたのです。お名前は出せませんが、音楽漬けの毎日である、一級のエンジニアさんです。

最初の反応はこうでした。

「え?こんなこと自動でやっちゃうの?これはマズいねぇ。エンジニア泣かせだよ。これを使って仕事をする事には…すこし抵抗があるね」

やはりそうか、と思いました。場の空気が悪くならなかった事だけが幸いでしたが、良いコメントが得られなかったな、という残念感がありました。…ところが、それから10分も触っていたでしょうか。エンジニアさんからの意外な一言で、一気に形成が逆転します。

「ああ、スタッフHくん。これは大きな勘違いだったかもしれない。Vocal Rider、すごくいいプラグインだよ。」

この10分のテストで何が変わったのか、まだ私には分かりませんでした。続けてエンジニアさんは

「Vocal Riderは、『完璧じゃない』ところがいい。例えば今テストしているこの曲は、愛について歌っている曲で、歌詞でもそれについて書かれている。だからこの聞かせたい歌詞について、僕がオートメーションを書くならもっとこの部分を強調して(フェーダーで突いて)書くだろう。でもVocal Riderは歌詞の意味まで分かっているわけじゃない。あくまでオーディオのレベルでオートメーションを書いているものだよね?」

確かにそうです。

「エンジニア達がやっているオートメーション作業の80%は、Vocal Riderだけで同等のオートメーションが作成できると思う。残る20%は、耳で歌詞の意味や表現したいところをチェックしながら、Vocal Riderが書いたオートメーションを手直しするだけでOKだね」


まさにこのコメントの「最後は耳で」がキモなのだなと感じました。

プラグインは非常に便利で、ハイクオリティのものが揃っていますが、楽曲そのものや歌詞、表現したい世界までを理解してくれるわけではありません。「これはベース用のプリセット」というものをロードしても、その音が曲に合っているか、適切なところをブースト/カットしているかは、耳でイイところを判断する経験を積むべきなのです。

とはいえこのVocal Riderも、冒頭でご紹介したNugen AudioのSEQ-Sも、大幅な時間短縮と、経験を踏み出す第一歩のお手伝いをしてくれる事はたしかです。どんなプラグインやハードウェアを使っても、やはり最後は耳で判断できるようになりたいですね。

Nugen Audio – SEQ-Sについて詳しく>>

WAVES – Vocal Riderについて詳しく>>


スタッフH

MIセールスマネージャー。休日はベースを弾くホリデーミュージシャン。最近ちょっとだけいいカメラを買いました。自他バンドの風景を撮影したり、ムービーを撮影してFinalCutProXで処理(もちろん、AUプラグインで音作りも!)の一連の作業が楽しくて仕方ありません。


21 5月 14

補正系のプラグインを「クリエイティブに」使う


スタッフHです。

久々の更新となる「MixがうまくなるTips」、本日は「意外な方法でプラグインを使う」流れを解説。使用するプラグインはSonnoxのSuprEsser。ビデオでも冒頭で語られている通り、高機能なディエッサーでもあり、高域のみならず全ての帯域で使用できるアクティブEQでもあり、とにかく万能なツールです。

SuprEsserを持っていれば非常に楽に、かつ正確にこのTipsを使いこなす事ができますが、まだお持ちでない方は

  • どれくらいのコンプレッションをドラム全体に掛けていいのか(心地いいのか)
  • パラレル・コンプレッションによって得られる豊かなドラムサウンド
  • ドラムミックスのバランス

辺りを参考にしてもらえればと思います。

いかがでしたか?ビデオ序盤ではちょっと線が細めに感じたドラムサウンドが、終盤にかけて図太く、各段に格好いいサウンドに仕上がった事が確認できます。ではそれぞれの見所を。

今回のビデオは、大きく分けて前半・後半の2部構成。

  • 0:00〜

前半は、ドラム全体にSuprEsserを使ってコンプレッションをする手順を解説しています。リアルタイムに表示されるアナライザーを見ながら、自分でピークを確認し、狙った帯域だけに向けてスレッショルドを下げる。一見機械的にコンプを掛けているだけのムービーに見えますが、インプットボリュームをちょいちょいといじったり、Dry/Wet機能を触ったときのサウンドの変化にも耳を傾けてみて下さい。

  • 1:25〜

コンプを掛けるということは、「音を潰す」ということ。ここではInflatorを使って潰されたサウンドをゲインアップして取り戻す、という作業に触れています。ここはぜひサウンドの変化とともにチェックしてほしいところ。コンプレッションによって鈍くなったハイエンドも、Inflatorによって取り戻している事をチェックして下さい。

相互のプラグインによって起きる変化を聞きながら、SuprEsserのパラメータを調整しているとこともポイントです。ここまでの処理によって「ドラムにいい感じの熱さ」が得られた、とビデオでは解説しています。


  • 2:06〜

ここからが後半です。前半では全てのドラムトラックを1つのバスにまとめ、そこにプラグイン処理を行っていましたが、ここからルームマイクだけを独立させ、個別に処理をしています。

使用しているプラグインは、前半同様にSuprEsserとInflator。ルームマイクのトラックをAUXにセンドして(トラックコピーでもOK)、何も処理していないルームマイクと、プラグインで処理したルームマイクを「混ぜる」手法。ビデオでは「パラレル・コンプレッション」と解説しています。

キツめに掛けたコンプサウンドを、元のトラックに混ぜる。元のニュアンスを残したまま、コンプサウンドをブレンドする。ビデオではブレンドあり、なしを随時比較しています。サウンドがどのように変化するかをチェックしてみて下さい。


ビデオ最後にも触れられていますが、今回のミックスではリバーブを使用していません。にも関わらず、ルームマイクへの効果的なコンプレッションによって、ルームリバーブでも掛けたかのような奥行き、立体感を作り出すことに成功しています。

もともとSuprEsserは、特定の帯域の「出っ張ったピークのみを削る」ツールとして登場しました。しかしこうして視点を変えれば、元のサウンドになるべく変化を起こさせないコンプとしても使える事がわかります。

補正系プラグインをクリエイティブに使う、他のプラグインでも試したくなるテクニックですね。


31 3月 14

シンセのミックスは、いつもダンゴになりがち


スタッフHです。

今日は久しぶりの「Waves EMP(Electric Music Production)シリーズ」のTips記事の更新。お題は「ダンゴになりがちなシンセのミックス」です。

これは私の経験ですが、念願かなってお気に入りのシンセ(ハードでも、ソフトでも)を買って、音作りが楽しくていろいろなサウンドを作って曲作り。調子にのって何パートもダビングして、いざミックスの段階になったときに、

  • この音は思い入れが強いから、このままにしよう
  • この音も絶妙にしあがったなぁ…このままにしよう
  • この音は太さがキモなんだ。このままにしよう

…とやって行った結果、それぞれの「何が聞かせどころなのか」が不明確になり、どの音も聞きづらいものになってしまった…。

まぁ私の優柔不断ぷりは社内では有名なので、これは極端な例ではありますが、お気に入りのシンセを複数重ねてレコーディングする時には、カットすべきをカットし、ブーストすべきをブーストする、広げるべきを広げ、狭くすべきところを狭くする処理が必要になります。

今日はそんな「似たようなサウンドをミックスする手法」をご紹介。サウンドサンプルつきでご紹介します。


Ilpo KarKKainen

Electronic Music Producer

Resoundsound


このチュートリアルでは、似たような傾向のシンセ2種をシンプルなプラグインを使ってミックスする手法について解説しよう。

使用するプラグインはこれだ。


スタートポイント

ここに2つのシンセサウンドがある。それぞれElementのプリセットを使用したものだ。まずは何をすべきかをさぐるため、音を聞いてみよう。最初の2つがそれぞれを単独で再生したもの、3つ目は両方一緒に再生したものだ。

シンセA:プロセス前

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シンセB:プロセス前

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シンセA&B:プロセス前

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クールなサウンドだね。…だけど、ミックスの中でこの2つが同時に鳴っていると、明瞭度が下がってしまう。ただ同時に音が鳴っているだけで、ダンゴになってしまっている。

じゃあPAZ Analyzerを使って、何が起きてるのかよく調べてみよう。シンセAが左で、シンセBが右の画像だ。

ご覧の通り、周波数カーブがほとんど同じだね!ステレオイメージも大差がない。これじゃあダンゴになるのも無理はない。

ミックス作業は耳で行うべきだ。目でやるものではないよね。とはいっても、アナライザーは確認や聞こえているサウンドを正確に判断するときにはとても役に立つ。特に、モニタリング環境があまりよくない場合にはね。


プラン作成

プラグインをあれやこれや立ち上げるまえに、一度手を休めて「どういうサウンドに仕上げたいのか」を考えること。2つのシンセがミックスの中でどうあって欲しい?

今回のような場合なら、僕はシンセAをメインベースにして、シンセBはフック的な目立つサウンドに仕上げたい。同時に、それぞれのシンセのキャラクターはあまり変えたくない。なぜならそのままでクールなサウンドなのだから。わずかな変化に抑えたいところだね。

こんな事を考えながらプランを作り、ミックス作業に取りかかるんだ。

今回のプランは…

  • SSL G-EQ:周波数上でサウンドがぶつからないような音作りに使用
  • Center:シンセAをステレオイメージ中でミドル(中心)にフォーカスさせるために使用
  • PS22:シンセBをワイドに広げ、シンセAを包み込むような仕上げにするために使用

シンセAの処理

シンセAに使った最初のプラグインはSSL G-EQ。この画像のような処理を施した。

  1. LMF(ローミッドフリーケンシー)の帯域では800Hz近辺を狭めのQでほんの少しブースト。このエリアにはパンチのある輪郭を強調するおいしいポイントがある。
  2. HMF(ハイミッドフリーケンシー)の帯域では最も広いQセッティングで、2kHzを中心にカット。この帯域はシンセBにとって重要な帯域だからだ。ここをカットすることで、シンセBに居場所を作って上げるんだね。カットはほんのわずかだけど、違いは大きい。後ほどシンセBでこの帯域をわずかにブーストする予定だよ。
  3. HF(ハイフリーケンシー)の帯域では、わずかにブーストを掛けている。これは元々の高域が素晴らしいサウンドだったので、もっと「噛み付く」ようなキャラクターを与えて輪郭を立たせたかったからだ。

次にシンセAに使ったプラグインはCenterだ。

Centerを使って、サイド全体のシグナルを6db下げる。これはステレオイメージ全体をやんわりと中心にフォーカスするようにするためだ。さらに”Low”のつまみを左に振り切っている。これによって、低域成分をすべてセンターに寄せている。

ではSSL G-EQとCenterを使ったものを聞いてみよう。処理前のものをリファレンスとして並べてある。

シンセA:プロセス前

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シンセA:プロセス後

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そんなに違いはないよね?ここでは大きな変化は必要ないんだ。元のサウンドキャラクターを生かすと同時に、イメージするサウンドに仕上げることはできる。シンセBにいってみよう。


シンセBの処理

最初は同じくSSL G-EQを使っている。セッティングはこうだ。

  1. シンセBはベースというよりも、フックとして使用しようと最初にプランを立てた。なのでまずはハイパスフィルターを115Hz付近まで上げて、過剰なローエンドを取り除く。シンセAで作った最高のローエンドに低域をまかせ、何にも邪魔されたくないんだ。
  2. HMF(ハイミッドフリーケンシー)で、Qを最も広く、2kHz付近を3dbくらいブーストする。ひとつにはこれでフックとして望むクオリティをひきだしたことと、ひとつには同じ帯域をシンセAでカットしたこと。2kHzをシンセAでわずかにカットし、シンセBでわずかにブーストしたことで、それぞれのキャラクターを大きく殺すことなく、フックとなるシンセBを際立たせることができた。

これがEQ処理だ。シンセBに使った次のプラグインは、PS22だ。

PS22はモノラルのソースを疑似ステレオに変えるプラグイン、または今回のように、ステレオソースを際立たせる用途でも使うことができる。

今回は”Mono ReMaster – Pop”というプリセットを使うことにした。理由は単純で、今回のケースにぴったりのサウンドが得られたからだ。広がりのあるステレオ効果と、中域にスペースを確保(シンセAがあるところだ)することができた。このエフェクトの良いところは、モノラルで再生されても互換が保てるところだ。

SSL G-EQとPS22を使ったものを聞いてみよう。処理前のものをリファレンスとして並べてある。

シンセB:処理前

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シンセB:処理後

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結果

ではシンセA、シンセBを一緒に聞いてみよう。トーンとステレオイメージのわずかな違いを聞いてほしい。ステレオイメージの違いが分かりにくいようだったら、ヘッドフォンを使ってみて。

シンセA&B:処理前

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シンセA&B:処理後

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シンセA&B:交互に

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一連の作業で、ボリュームやゲインには一切触れていない事に注目。EQとステレオイメージの操作だけでこれほどの違いがあるんだ。

シンセAはベースラインとしての役割に加え、安定した中域がある。

シンセBはヌケがよくなり、高揚感のあるサウンドに仕上がりつつ、ローエンドを邪魔していない。

完成だ!

このチュートリアルで主に説明したかったことは、ミックスの中でスペースを作ったり音の分離をよくするために、常に過激な処理は必要ないという事だ。しっかりとしたプラン、全てがぴったりと収まるまで、あちこちの変更に時間がかかるのさ。


20 3月 14

一歩進んだツール、”アクティブEQ”


スタッフHです。

本日は一歩進んだツール、アクティブEQ(イコライザー)をご紹介。アクティブといっても、ハードウェアでいうところのアクティブ回路を搭載したものではなく、McDSPが開発した新感覚EQ:AE400をピックアップいたします。

  • 例えばミックス作業中。ベースの処理をしているときに、特定のノートを弾いたときだけ妙なほど(悪い意味で)ブーミーな音がしてしまったとき。
  • 例えばボーカル。表情豊かな声色を処理しているが、瞬間的にコモって聴こえるところがあったり、逆に耳に痛いところが出てきたりする。パフォーマンスは最高なので、そのままをミックスに溶け込ませたいのに…というとき。
  • 例えば自慢のビンテージアナログシンセ。不安定な要素も含めて大好きで、特にシンセベースとしてお気に入りだけど、高い鍵盤のところに行ったときの抜けがちょっと悪い。

人によって事情は様々あるかと思いますが、何かしらこういった「抜けがわるい」「邪魔なピークがある」という時には、EQを使用されることが多いでしょう。特定の帯域を狙って、EQを使ってカットをしたり、ブーストしたり。もちろん、これは間違いではありません。テイク全体に渡って「抜けがわるい」「邪魔なピークがある」という場合は、これでOKだと思います。

しかし、上に挙げたような「あるとき、ある瞬間だけ」の場合。

ベースでブーミーな音が出てしまう瞬間は「ある瞬間だけ」なので、常に特定の帯域にカットのEQをかけてしまうと、「ある瞬間以外」のローエンドが寂しくなってしまいます。高いところの鍵盤だけ抜けがわるいアナログシンセにハイのブーストEQを掛けると、満足していた低いところの鍵盤も、ギスギス痛い音になってしまいます。


もちろん第一線で活躍されているエンジニアさんやサウンドクリエイターの方は、こういった問題を解決する各自の手法をもっています。私が目にした事があるものでいえば、EQのオートメーションを使って、問題の部分だけにかかるように処理をする。その瞬間のリージョンだけを切り分けて、別トラックで処理をする。もっと他にもあるかもしれません。

ところで私が個人的に大好きなエンジニア、アンドリュー・シェップスさん、この方はレッチリやメタリカなどの激しいバンドから、アデルなど近年のシンガーまで手がけるエンジニアからのひとこと。


というわけでご紹介するツールが、McDSPよりリリースされているAE400、アクティブEQです。

このAE400、ご覧の通りパッと見はよくあるEQのように見えますが、各バンドの上には何やら、コンプレッサーで見かけるようなレシオグラフが設置されています。しかしこれは、コンプではありません。このAE400は、あくまでもイコライザーなのです。


一般的なコンプレッサーは、指定したレベルを超えたもの(スレッショルドを超えたもの)をコンプレッションします。ブランドや機種によってキャラクターの違いはあれど、潰すという作業では同じです。

AE400は、指定したレベルを超えたもの(スレッショルドを超えたもの)の、その瞬間だけを狙って「EQ」がかかります。スレッショルドを超えていない場合は、何もしません(=音に影響を与えません)。これがタイトルにもなっている「アクティブ」が意味するところ。下のムービーは、キックやタムが余分な成分を出しているアタック瞬間のみリアルタイムでEQカットをかけつつ、余韻にかけてカットを少なく(≒ なるべく原音を壊さないように)処理をしているところ。

そしてAE400は、ご覧の通り4バンドのマルチバンド仕様。ローエンドはアクティブEQとして使用して、ハイエンドは普通のEQ(=掛かりっぱなしのEQ)としても使用する、といった芸当もできます。

さらにサイドチェイン入力を備えていますので、

  • キックのタイミングに合わせて(その瞬間だけ)ベースのローエンドを少しだけEQカットする
  • 高域の鍵盤に行くにつれて抜けが寂しくなってくるアナログシンセなどの特定帯域から上を、ダイナミクスに応じてブーストさせる

なんて事もOK。これをオートメーションでやろうとすると……なかなか膨大な時間がかかってしまいそうですね(上でアンドリューさんが言っているのは、こういう事でしょう)。音作りのイメージがある人ほど、イメージ通りのサウンドを作ることができる究極のツールです。

気になるプラグインの負荷は、極めて軽め。DAW標準のEQなどと同等の軽さでサクサク動作します。

いい素材をレコーディングできたら、その素材をなるべく変化させず、壊さずにミックスしたいもの。そういう時にこのAE400は「全チャンネルにほしいほど」有効なツールです。

>McDSP AE400 製品詳細ページ


25 2月 14

リバーブで作るドラムの「抜け」


スタッフHです。

好評連載中の「ミックスがうまくなるTIps」。Sonnoxプラグインを使った内容ではありますが、他の似たような処理ができるプラグインを使っても参考になる(Sonnoxなら「より確かな」効果をお約束します!)記事です。

前回、前々回と同一のセッションを使って、ギター編(ギターの壁を作る)ベース編(DIシグナルとアンプシグナルで作り上げる)をご紹介して参りましたが、今回は最後のパーツ「ドラム編」です。

轟音で鳴っているギターやベースのセッションにおいて、ドラムのサウンドメイクは結構難しいものです。アタックを強調しようとして「ぺちぺち」な迫力のないサウンドになってしまったり、ドラムの鳴りを派手に響かせようとしてギターやベースとぶつかってしまったり。どういうサウンドに仕上げたいかにもよりますが、この三者のバランスによって、迫力の出方はまったく変わってきます。全てのトラックを「派手に!」なんて処理をしようとすると、きっとうまく行きません。ギター編、ベース編をまだご覧になっていない方は、まずこの2つから参考にしてみて下さいね。

さて、本日はドラムです。

今回のドラムトラックは、実際のアコースティックドラムをレコーディングしてきた素材をもとにしています。もちろん、BFD3などの大容量ドラム音源などでも同じ考え方で参考になるはずです。キック、スネア、ハイハット、タム、そしてオーバーヘッドにルームマイクの素材を使用しています。

最初のステップ(0:00〜)

このドラムトラックは、すべて1つのAUXバスにまとめられています。ここに、SonnoxのInflatorをインサート。もともと音を派手に仕上げるプラグインですが、ここでは「ごくわずか」な効果を狙って使用されています。「ごくわずか」がどれくらいの量感であるか、感覚を養いましょう。

キックトラック(0:54〜)

キックに使用されているのは、Oxford SuprEsser。指定した帯域の「邪魔なピーク」だけを取り去るプラグインですが、なんと低域の「補強」に使えるという裏技を公開。プラグインの使い方にルールはない、という好例かもしれません。SuprEsserはSonnox独自の魔法のツールなので、似たような処理ができる別のものは少ないかもしれませんが、お持ちの方はぜひこのテクニックを試してみて下さい。

また、このようなセッションでキックをどのようなサウンドに仕上げるとよいのか、参考になるかと思います。ここでは、プラグインの効果よりも「サウンドそのものの変化」を聞いてみてください。

スネアトラック(1:30〜)

スネアにリバーブを掛ける、というのは多かれ少なかれ、どのようなセッションでも行われていることかもしれません。しかし、ここで注目していただきたいのは、奥行きを得るためのリバーブではなく、「スネアの抜け」を作るためにリバーブにセンドされているということ。リバーブを掛けたら音が広がって、抜けとはほど遠いような気もするのですが…… これが不思議と「抜け」に繋がる処理に繋がっています。ビデオでビフォー・アフターをチェックしてみてください。

オーバーヘッド(2:02〜)

オーバーヘッドはドラムキットのすぐ上に立てられたマイクのサウンドですが、このトラックにもまずリバーブ(ルームリバーブ)が使われています。ドラムキットから距離のあるマイクなのに、さらにルーム感を付加する。ともするとボヤボヤの音になってしまいがちですが、どれくらいのリバーブが効果的なのか。これもまた、感覚を養いましょう。

だいじなこと(2:50〜)

ビデオ中「ドラムだけ聞くと、リバーブが大きすぎると感じるかもしれない」という辺りからは、ミックスの心得のようなものを解説してくれます。ここもぜひチェック。

ルームマイク(3:05〜)

ビデオでは「最も大切なルームマイクの仕上げ」と前置きをして解説がスタートします。最初にInflatorの解説が少しだけありますが、もっとも大事なのはその後。ルームマイクをどれくらいミックスに混ぜるのか。たった1本のルームマイクが、どのようにミックスに役立っているのかをチェックしてみてください。この後、ルームマイクへのEQについても解説されています。

ギター編、ベース編と続いてきた本Tips。迫力のあるギターサウンドに、ドラムやベースをどう仕上げるべきなのかを解説して参りました。もちろんこれはほんの一例ですが、このテクニックをもとに自分ならではのサウンドメイクにチャレンジしてみてくださいね。

>Sonnoxプラグイン詳細ページ


29 10月 13

【補足記事】ミックスの最後に失われるもの


スタッフHです。

昨晩公開をした前ポスト「ミックスの最後に失われるもの」。ここ最近の中では驚くほどの反響がありました。ページ上のTwitter/Facebookボタンはもちろん、ツイートそのものやFacebook投稿への反響も、嬉しいほどたくさんありました。

ミックス・マスタリング作業中に「mp3、AACに変換された後の音をモニタリングする」。

実際に体験していただかないと伝わりづらい製品のため、どうしたらこの製品をうまく紹介できるかな、と考えた結果「失われるもの」そのものをお聞かせしたら驚いてもらえるかな、と思った次第でした。

昨日のポストは「音を聞いてもらう」がメインだったので、ここではなるべく簡単に補足情報を。


  • 本プラグイン、Sonnox Fraunhofer Pro Codecは(以下、ProCodec)、その名の通り「Fraunhofer」との共同開発製品です

フラウンホーファー。事情通な方にはこの名前だけで「なるほど」と思って頂けるかと思いますが、ざっくりいうとドイツの巨大な研究機関です。私たちに関わる活動を抜粋すれば、「mp3やAACの規格の開発元」なのです。Fraunhoferがこのようなプラグインの開発を企画し、そのパートナーがSonnox社である、という事になります。


  • ProCodecは、単なるエミュレータのようなものではありません

とてもとても不思議なプラグインなので、ともすると「そんなすごい事をリアルタイムでできるわけないでしょ。リニアEQとかを使ってそれっぽくエミュレーションしてるだけでは?」と言われる事もありますが、実際には「そんなすごい事をリアルタイムで行っている」プラグインです(昨日のポストでも書きましたが、mp3やAACファイルの『書き出し』もできますからね)。

リアルタイムで行っていますが、その分プラグインの中で溜め込む時間もある程度必要です。コーデックによっては数千サンプルになる場合もあります。あくまでも、ミックス・マスタリング時に使用していただくものとお考えください。


  • 圧縮時にクリップしてしまうぞ、という事も、あらかじめ分かります

意外に知られていないのですが、非圧縮時のファイルはクリップしていなかったとしても、mp3やAACに変換するときにクリップする事があります。これがなぜクリップするのか、というのを説明しだすと(まだまだ浅はかな私には)ここでは説明しきれないので、割愛します。とにかく、変換時にクリップする事があるのです。

同一の条件でいくつかのファイルを変換したときに、なぜか特定のファイルだけ音が曇っていたり、歪みっぽいなと感じる事があれば、これがまさにそのケース。ProCodecは、あらかじめ「おいおい、このファイルをmp3に変換すると、クリップして歪んでしまうよ」というのをアラートしてくれる機能もあります。この画像でいえば、HE-AACの場合にクリップがでそうだ、とアラートが出ていますね。もちろんここで、アウトプットを微調整することもできますよ。


  • どの辺の帯域がとくにクリップの原因になりそうか、教えてくれます

この画像の赤い帯になっている部分(画像だと、6.5kHz〜18kHzくらい?)は、「おい、この辺の帯域がクリップの原因となりそうな場所だぞ」と教えてくれている部分です。

それぞれのコーデックには特徴があり、「なにを削って圧縮をしているか」も違います。上記のクリップが起こる原因は、それぞれのコーデックによって異なるという事なんですね。クリップしそうな帯域があらかじめ分かっていれば、作業もだいぶ捗ります。


  • 圧縮前は黄色、圧縮後は赤い部分です

スクリーンショットの中で、圧縮前の音声は黄色のライン。赤いライン以下の部分が圧縮後の結果となります。音楽は決してメーターでつくるものではありませんが、これをみると何が失われるのかが分かりやすいですね。ハイエンドはそこそこ忠実なビフォーアフターですが、5kHz以下は徐々に削られている様子が見て取れます。

「圧縮された音は、平坦なんだよね」というコメントを見かけますが、この結果はまさにそういった言葉を裏付けるグラフと言えるかもしれませんね。このグラフィックは、リアルタイムで更新されます。


  • エンコードも、おまかせください

今やDAWにも、ひいてはiTunesなどのオーディオプレイヤーにもmp3/AACエンコーダーは搭載されています。ところがこのエンコーダーによってわずかな違いがあるという事は、あまり知られていません。ProCodecはmp3やAACフォーマット生みの親であるFraunhoferによるプラグイン。より正確に、より忠実に、元のファイルをmp3/AAC/iTunes Plusファイルに変換します。

この他にもたくさんの機能がありますが、本日はメインとなる部分を中心にお伝えしました。販売時のみならず、ウェブサイトへの掲載やデモ送付、など、ますます身近になるであろうオーディオファイルの圧縮。特性を理解して、より魅力的な作品の力添えになれればと思います。

>> Sonnox Fraunhofer ProCodec 製品詳細


28 10月 13

ミックスの最後に失われるもの


スタッフHです。

前回ポストのHEar。おかげさまでたくさんの反響を頂きました。オーディオに直接作用するプラグインではなく、ユーティリティー系の製品ではありますが、きっと多くの方に「便利そうだ」と思って頂けたのかな、と思っています。

本日はそんなユーティリティー系のプラグインの中でも最も強烈な「ミックス・マスタリング作業中に、あらかじめmp3やAACに変換された後の音を(リアルタイムで)チェックできる」、Sonnox Fraunhofer Pro Codecをご紹介いたします。


一昔前の「CD時代」と異なり、現在は作品のリリース形態がさまざまなフォーマットで展開されています。iTunesや着うた、レコチョク、他にも海外サービスなどを含めると、数多くのサービスがあります。

ここで話題になるのが、mp3やAACなどの圧縮。一部のサービスでは非圧縮のままで販売しているところもありますが、多くのサービスでは、何かしらのコーデックで圧縮されたものを販売しているはずです。

圧縮すれば、音が変わる。これは、当然ともいえます。圧縮による変化がどこに出てくるのかが分かっていれば、ミックス/マスタリングの際にも楽なのですが、現状では、

ミックス・マスタリングをする

mp3やAACに変換する

なんか音が違う

ミックス・マスタリングに戻る

また書き出す

……この過程を繰り返すことになります。何とも面倒です。とあるエンジニアさんに伺うと、

「圧縮作業をしたときにでてくる変化は、現在の流通を考えるとやむを得ない部分もあるのかな、と思います。なので、闇雲に”圧縮音源なんてダメだ”と否定することなく、圧縮で変わってしまう部分をあらかじめ見越したバージョンのミックスができるようにしています」

とのこと。分かりやすいところではローエンドとハイエンドの両端の「美しい」部分が失われたり、音楽そのものが平坦になってしまったりしますが、それを見越したEQの使い方、潰しすぎないコンプレッサーの使い方にも関わってきそうです。

というわけで本日は、各フォーマットで何が失われるのか。これを実際に体験していただきたいと思います。

Fraunhofer Pro Codecは圧縮後の音をリアルタイムで聞くことができるのが最大の特徴ですが、さらにもうひとつ「何が失われるか」をチェックするボタンも付いているのです。

まずはオリジナルのファイル。本ブログは基本的にmp3フォーマットのファイルを使用していますが、本日はこういった事情から、全てWAVフォーマットにしています。ファイルそのものを聞いて頂くため、プレイヤーではなく直接リンクとなってます。


・Original

http://second.minet.jp/blog/staffblog/wp-content/uploads/2013/10/PC_thru.wav

オリジナルのまま書き出したファイルです。これをmp3やAACに変換した時に失われるものはどういったサウンドなのか。リファレンスとして覚えておいて下さい。


・mp3 256kbps

http://second.minet.jp/blog/staffblog/wp-content/uploads/2013/10/PC_mp3_256.wav

圧縮音の代名詞ともいえるmp3ですが、これが「mp3に変換することで失われるもの」。これだけのものが失われているのか、という驚き。ビートの要であるスネアが大きく失われているのが分かるとともに、シンパルの奇麗な余韻。さらによく聞くと、ローエンドに含まれていたはずのふくよかさがこの「失われ側」に来てしまっています。ここが失われポイントであるなら、別の方法でふくよかさを演出してもよかったかもしれません。


・AAC LC 256kbps

http://second.minet.jp/blog/staffblog/wp-content/uploads/2013/10/PC_aaclc_256.wav

同じ256kbpsでも、mp3に比べて失われている要素の少なさがパッと聞いて分かるかと思います。オンラインで掲載するなら、mp3よりもこちらを選びたくなりますね。とはいえmp3と同じく主張の強いビートや、大切なボーカルの一部にも失われポイントがあるのが分かります。


・HE-AAC v2 56kbps

http://second.minet.jp/blog/staffblog/wp-content/uploads/2013/10/PC_heaac_56.wav

着うたやAdobe Flash Player 9などで代表的なフォーマットであるHE-AAC。これはもう「なんの曲なのか認識できる」レベルのもの。今一度確認しますが、この音声が「失われるもの」です。

圧縮したときに感じる「奥行きがなくなる」というのが、これでよくわかるかと思います。リバーブで丁寧な奥行きを作りたいとき、ライブ演奏をステレオ集音しているときなどには特にミックスに注意したいなという事も分かります。


・Apple AAC – iTunes +

http://second.minet.jp/blog/staffblog/wp-content/uploads/2013/10/PC_itunesplus.wav

世界最大のミュージックストア、iTunes。ここでリリースをされる方も多いでしょう。このフォーマットはiTunes Plusで販売される際に起きる変化です。Fraunhofer Pro CodecをあらかじめDAWにインサートしながら最終作業をされていれば、変化を見越した作業もできるかもしれませんね。


・HD-AAC 256kbps

http://second.minet.jp/blog/staffblog/wp-content/uploads/2013/10/PC_hdaac_256.wav

いわゆる「ロスレス」と呼ばれるフォーマットです。音が聞こえない、と思われるかもしれませんが、言い換えると「失われるものがない」という事。ファイルミスではありません。

このフォーマットは非常に特殊で、誤解を恐れずにいえば「CDよりもいい音(24bitや96kの恩恵を残せる)」もの。ここについて話をしようとすると、とても書ききれないこと、そしてなにより今の私の知識では浅はかすぎるので、やめておきます。ともあれ、失われるものがないコーデック、という事です。

いかがでしたでしょうか。各コーデックによって、失われる部分もさまざま。これがあらかじめミックス作業中に分かっていれば、もう少し違う処理を施しているのかもしれません。

SonnoxのFraunhofer Pro Codecには、圧縮後の音を直接確かめる以外にも、こんな機能があります。

  • 複数のコーデック(本日のように)を一気に書き出す機能。一回の再生で、5個のファイルをリアルタイムに書き出しできます。
  • 圧縮ファイルに変換するときに生じる「わずかなクリッピング」をあらかじめモニターし、クリップしないような音量に抑える事ができます。これは結構重要
  • 圧縮時にクリッピングの原因となりそうな場所をあらかじめ検知し、「この部分のミックスに気をつけろよ!」と教えてくれるモニター。
  • サラウンド、サラウンドファイルの書き出しにも対応(mp3HDとか、これから流行ってくれるといいですね)。

この辺は、次回補足記事を用意いたします。製品についてもっと詳しくは、製品詳細ページにてどうぞ

>> Fraunhofer Pro Codec 製品詳細ページ


25 10月 13

(ミックスで)スピーカーとヘッドフォンの違い?


スタッフHです。

** 本日の記事は、ぜひヘッドフォンをご用意の上ご覧ください。スピーカーからの環境では正しく再現されません。

本日は「ヘッドフォンでスピーカーの『音場』を再現する」プラグイン、IRCAM HEarをご紹介します。

ヘッドフォンを使ってミックスをしたものをスピーカーで再生したとき、こんな経験をした事はありませんか?

  • やたらにベースが大きくなっていた
  • わりと派手に左右に広げたつもりだったのに、思ったより「広がり感」を演出できていなかった
  • ボーカルに掛けたリバーブが大きすぎて、ボヤボヤ気持ち悪い音になっていた
  • ハイエンドを心地よく仕上げたつもりなのに、耳に痛い音になっていた
  • そもそも、思っていたバランスに仕上がっていない

ある程度慣れてくると「ヘッドフォンでこう聞こえていれば、スピーカーで鳴らしたときにこのバランスで聞こえるだろうな」という勘も鍛えられてきます。

できればいつでもスピーカーを鳴らせて、いつでもヘッドフォンと併用できるような環境があればいいのですが、一般的な住宅の私の家では、夜になるとヘッドフォンだけがたよりになります。その時に、スピーカー再生時の「違い」をプラグインで再現してくれるのが、IRCAM HEarです。



下にあるオーディオサンプルは、全く同じ素材のマスターフェーダーに、HEarを使用したもの・していないものの2つのサンプルです。

まずは、HEarを使用していないもの。

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そしてこちらが、マスターフェーダーの最後にHEarを使ってみたもの。かならずヘッドフォンでお聞きください。

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上のサンプル(HEarなし)では左右に思いっきり広がっているシンセベースが、下のサンプル(HEarあり。スピーカー音場を再現)ではほどほど心地よいくらいの広がりに聞こえます。ためしに上のサンプルをスピーカーで聞いてみると、確かに下のサンプルに近い音の広がり感だった事がわかりました。

また、ローエンドの聞こえ方も違いますね。HEarをオンオフしながら、ヘッドフォンの感じとスピーカーの感じのどちらでも不自然さがないポイントに調節するのが良さそうです。

最後に!HEarはあくまでも「スピーカーでの音場」を再現するプラグインなので、バウンスする時はもちろん「オフ」にしましょう!

>>Flux:: IRCAM HEar製品詳細ページ


27 3月 13

ベースサウンドは千差万別


スタッフHです。

私は仕事柄、さまざまなクリエーターの方やエンジニアさんとお会いしてお話を伺うことがあるのですが、それぞれの方のセッションファイルを拝見させていただく際に必ずチェックしているのが、ベーストラックの処理です。曲の土台であり、コードのボスであり、リズムの要だからです。アコースティックベース、エレクトリックベース、シンセベースを問わず、さまざまなポイントをチェックします。

可能であればエフェクトを施していない「すっぴん」のサウンドを聞かせていただいたり、ハードのシンセを使用したシンセベースなら「どこまでを本体で作って、どこからはプラグインで処理にしているか」を見させていただいたり。当然ながら、個々のクリエーター/エンジニアによって手法は千差万別です。ほとんどDIの音だけで(アンプの音は使わずに)軽くEQだけで仕上げるエンジニア、びっくりするくらいたくさんのプラグインを用いて神業的なサウンドを作りあげるクリエーター、ペダル型のプリアンプとエフェクターでで個性的なサウンドを作るミュージシャン。


手法は千差万別、といえば、Wavesから発売されているシグネチャー・シリーズのことがふと頭に浮かびました。このシグネチャー・シリーズ、世界に名を馳せるエンジニア/プロデューサーの「手法」をプラグイン化したもの。現在までに5人の方の「手法」が発売されています。

人によってサウンドは千差万別。ではそれぞれのエンジニア/プロデューサーによって、どうサウンドの傾向が違うかをチェックしてみようと考えました。ジャズベースをオーディオインターフェース(Metric Halo Mobile IO ULN-8)に直接つなぎ、エフェクトは全く使用せずにレコーディング。

こちらが素のサウンド

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このセッション、マスターチャンネルにリミッターを掛けている以外はベースに一切の処理を施していません。この曲を元に、それぞれのエンジニア/プロデューサーの方のベース用プラグインを掛けて、比較してみましょう。


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トニー・マセラティさんといえば、アリシア・キーズ、ビヨンセ、Jay-Z、Black Eyed Peasといった近年のヒットチューンを手がける方。ニューヨーク的な香りがします。このプラグインはトニーさんがベースを処理する時に使用するいくつもの機材や、その接続方法、順番、バランスなどの手法をプラグイン化したもの。ベースのタイプでDI(エレクトリックベース)かSynthを選び、あとは高域と低域のツマミで微調整するくらいでOK。

パッと聞いて分かるのは、独特の丸みと、低域の充実。ボトムを支えるベースの役割がはっきり感じられるようになりました。ハイポジションの演奏をしているときに目立っていた耳障りな高域がほどよく丸められて、曲の中に溶け込んでいるようにも感じます。

特筆すべきは、このプラグインにコンプのパラメータが一切ないこと。しかしながら心地のいいコンプレッションがかかっており、粒立ちのそろったサウンドに仕上がっています。


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エディ・クレイマーさんといえば、音楽の歴史に残るであろうたくさんの作品に携わってこられたエンジニア。ビートルズ、ジミ・ヘンドリックス、Led Zeppelin。近年はジミ・ヘンドリックスの未公開レコードのリリースで世界中を賑わせていますね。

このプラグインにもエディさんらしい特徴が表れています。どんな環境で再生されてもベースラインが埋もれないクリアなサウンド。トレブルのツマミを最大まで上げても心地よいプレゼンス。このセッションでは、モード1(コンプほどほどモード)を使用しています。


  • クリス・ロード・アルジ(CLA Bass

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クリスさんが手がけられたアーティストといえば、グリーン・デイ、U2、ナイン・インチ・ネイルズ、フー・ファイターズなどなど。近年の王道ロックサウンドは、クリスさんが開拓したといっても過言ではないでしょう。

CLA Bassプラグインには、特徴的な「ディストーション」スライダーがあります。激しいベースラインを演出するのにディストーションは有効ですが、闇雲に歪ませるとローエンドを失ったり、曲の中で耳障りなトーンになってしまいがち。ところがCLA Bassはそういった破綻を起こすことなく、印象的なディストーションベースを作ることができます。ここではタイプ「RIP」のディストーション(最も歪む)で半分ほど歪ませています。


  • ジャック・ジョセフ・プイグ(JJP Bass

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JJPさんはカリフォルニアのオーシャン・ウェイ・レコーディングスタジオを拠点に活動されるエンジニア/プロデューサー。ジョン・メイヤー、レディー・ガガ、Beck、ローリングストーンズ、Black Eyed Peas、U2などなど手がけられています。ジョン・メイヤーとレディー・ガガを並べると、音楽的にはかなりかけ離れているようにも感じますが、この幅の広さがJJPさんの魅力でもあるのでしょう。

JJP BassのGUIを見てみると、パラメータの名前が印象的。アタックを出したい時には「ATTACK」。エッジを立たせたい時には「EDGE」、コンプでリリースを伸ばしたような効果を得たい時には「LENGTH」などなど。

これはアーティストとエンジニアさんの「やりとり」そのものなのかもしれませんね。「もうちょっとアタック感がほしいんだ」とか「ギザギザしたようなエッジのある音にしてくれ」だとかね。

今回のセッションでは、SUBのツマミを使って超低域を補強するサウンドに仕上げています。ヘッドホンやモニタースピーカーなどの方が確認しやすいかもしれません。また、アタック、エッジ、レングスなどの特徴的なパラメータで派手めの仕上げにしてあります。


どのサウンドが最もお好みでしたか?

ここでご紹介したサウンドは、それぞれのプラグインのほんの一面です。実際にはかなり幅広くサウンドメイキングをすることができます。CLAを使ってクリーンなベースサウンドを作ることもできますし、JJPで落ち着いた(派手じゃない)サウンドだってOK。ベース以外に使ってみても面白いかもしれませんね。

ここまでご紹介した4つのシグネチャー・シリーズに、新たに5つ目となるMANNY MARROQUIN(マニー・マロクィン)シグネチャーがリリースされました。こちらはこれまでのシリーズとはちょっと毛並みが異なるプラグインなので、また別の機会にご紹介できればと思います。

Manny Marroquin Collection製品詳細ページ


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